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10月10日
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【Side.C】
ねぇ、僕は、生きたいと願ってもいいのかな。
「悪い、アキ。ここで始めるぞ」
警吏を振り切って、街を越えて、降ろされたのはどこかの山の中の、大きな木の根元だった。
「始める…?何を?」
「お前を、半分『鬼』にする」
彼の手がシャツにかかり、ボタンが外される。
露わになった首の付け根に、彼は顔を埋めた。
「僕を、半分、『鬼』に…?そんなこと、できるの?」
「ああ」
「っ、本当に…?」
「その代わり、二度と『人』には戻れねぇ。お前は、二度と俺から離れられねぇ」
「そんなの…!」
「それは多分、お前が考えてるよりしんどいぞ。死んで行く奴らを、ずっと見続ける事になる」
「ぁ、」
「それがわかってても…悪い。俺は、お前を『鬼』にする」
ねっとりと、彼の舌が首筋を這う。
そして鋭い牙が、皮膚に触れた。
「ミツさん」
「…何だ」
「僕は、生きたいと、願っても…いいですか?」
「当たり前だ、馬鹿」
焼ける様な痛みと共に、牙が皮膚を破り、肉を割り裂いた。
「つぅ、ぅ…」
余りの痛みに、心臓が止まる。
けれど。
「ぁ…」
体内に侵入を果たした『何か』が、止まった心臓を無理矢理拍動させた。
「かっ、は…」
その強い拍動は凄まじい勢いで血を全身に運び、『何か』も一緒に運んで行く。
その『何か』に胎内から侵されて行く感覚が、ぞわぞわと走り。
「ミツ、さん…!」
紺色の髪をかき抱いた。
「ミツさ、んぁ」
「…そんな声で呼ぶな、馬鹿。たださえ、血ぃ失ってやべぇってのに」
「ふぇ?」
「生存本能って言うのか?『鬼』はなぁ、血を失うと性的な興奮状態に陥るんだよ」
覚えとけ、と。
彼は言った。
「は、ぁ…」
覚えとけ、と言いながら、彼の手は肌をくすぐった。
「はっ…やべぇな。食っちまいてぇ…」
「え?僕…食べられるの?」
「そっちの食べるじゃねーよ。本で読んだことねぇか?『セックス』してぇ、って意味」
「セ…?」
「セックス」
セックス。
セックス。
セックス。
「なっ、つ、ええええええっ?!」
「そんなに驚くことじゃねぇだろ」
そんなに、驚く事だよ。
本で読んだ知識だけで、ずっとそんなものとは無縁だった。
そのせいか直接的な言葉は刺激が強すぎて。
「う、あ…」
顔に熱が集まるのを自覚した。
そんな真っ赤な顔を。
「やべぇ、つっただろーが」
妙に熱の篭った吐息がくすぐった。
「ひゃっ?!」
「半分はお前のせいだぞ」
その熱に侵されて、いつの間にか心臓から痛みが消えている事すら気がつかなかった。
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