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第三章第一節:魔鏡の鍵4 注)流血表現あり
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sideトド松
真っ赤な液体が散乱した。
「Good Job☆」
おそ松兄さんは、振り返ることなく、ピエロにヒラヒラと手を振ってみせた。
「いえいえ」
得意げなピエロ。
ピエロが何らかの術で、遠隔から脇腹を切ったんだ。
チョロ松兄さんの。
「チョロ松兄さん!!」
僕は夢中で、チョロ松兄さんに駆け寄った。
泣きそうな面々がチョロ松兄さんを囲む。
ただ一人、返り血を浴びた姿で、嬉しそうにしているおそ松兄さんが、血溜まりの中から、何か拾い上げた。
「あった☆」
おそ松兄さんの親指と、人差し指の間には、血のように赤い歪な石があった。
――あれが、魔鏡の鍵?
「行こう」
不意に手を引かれる。
おそ松兄さんが、チョロ松兄さんから僕を引き剥がした。
「魔王の戴冠式をしなきゃ。早く鏡の間に行こう」
「あ…やだっ!」
僕はおそ松兄さんを振り払おうとしたけれども、兄さんの力は、思いの他強かった。
――おそ松兄さんって、こんなに力強かったっけ?
「ダメだっ!」
「え…」
誰とない驚愕の声が漏れる。
血溜まりの中で横たわるチョロ松兄さんが、いきなり怒鳴ったんだ。
おそ松兄さんの眉間には、シワが浮かぶ。
「その鍵を持って行ってはダメだ!」
「チョロ松兄さん…まさか…!」
十四松兄さんが口元を、伸びた袖で隠した。
兄さんが動揺した時の仕草だ。
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