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第三章第四節:壊れゆくもの3
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sideチョロ松
「おそ松兄さん!」
僕は、兄さんの両方の腕を掴んだ。
やっとカラ松の手から逃れたと思ったら、今度は僕に捕まるれて、兄さんは心底嫌そうな顔をしているけど、今はそんなの構ってられない。
「ねぇ?いったい何をしたいの!?」
「…幸せ」
「え…?」
「今ね、すごく幸せなの。大好きな人と一緒に居られて。でも、『生き物』だから。『生き物』に『永遠』はないから。『今』をここで止めて、俺のにするの。そしたら誰にも取られないでしょ」
「それで、兄さんは、寂しくない?」
「寂しくないよ。だって全部、俺のものになるんだから。ずっと一緒に居られるんだから」
「おそ松兄さん…」
――どうして。
「もし僕が、兄さんの言う、『兄さんの』になったら、こうやって、兄さんに触れられなくなるんだよ」
「じゃあ…」
兄さんはキッと僕を睨みつけた。
「一年後も、十年後もずっと一緒に居てくれるの!?居てくれないくせに!俺のこと捨てて、家出て行ったくせに!」
一瞬動揺したのを兄さんは見逃さなかった。
緩んだ僕の手から、スッとおそ松兄さんは抜け出た。
「俺の邪魔すんなっ!」
「あ…っ!」
僕が待って、と言おうとした時には、兄さんは既に、ちゃぶ台の上で光る魔鏡の鍵を片手で握り、庭から外に飛び出していた。
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