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54 仲直り
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side 福田涼太
───ガチャッ
俺の気持ちが揺らぐ前にと、充が帰ってすぐ携帯をとった
家賃は毎月義父さんが払ってくれている。勝手に通帳から引かれる、ちなみに携帯代もだ。
食費なんかは毎月封筒で送られてくる。危ないことするなぁと思いながら、受け取っていたけど、自分がどれだけ子供で、世間知らずかはもう学んだ。もううんざりなんだ。
──プルルル…プルルル…
この電子音が、心臓を締める。
『はい』
「あ、もしもし、…健吾さん」
義父さんと呼んでいいのか、わからない。
『…もしもし』
少し戸惑ったような沈黙の後優しい声の返事
ぐっと目頭が熱くなるのを感じた。
「久しぶり…つっても3ヶ月くらいかな」
『そうだねぇ…その、どうしたんだい?』
「今も夜は、ご飯食べるために帰ってる?」
『ああ、遙と食べているけど…』
俺の質問の意図がわからず困惑しているようだった。
「明日、俺も、食べていいかな、一緒に」
『……』
怖い。手が震える。喉仏がゴクッとなった。心臓の心音が耳や頭に響く。どんどん早くなっていることが分かる。
目から血が出そうだ。
『もちろん、だよ。来なさい』
「っ…。ありがとう、じゃ、7時半くらいに行くから」
──ピッ
返事を待つ前に切った。これ以上繋いでたら泣きそうだ
さっき泣いたせいか涙腺が緩んでる気がする。
義父さんの返答の声が、少し震えていた気がした。
けれど、あまり浮かれては行けない
まだ当たり前のように愛されているなんて思わない。
そう思うのは、全部謝ってからだ。
「あ"~~!くそっ、充と話してぇ…」
携帯を握りしめながら腹から声を出して嘆いた
あいつ、携帯持ってねぇつってたから電話はできない。
あいつならきっと「よくやった!」と言って、笑ってくれると思うんだ。
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