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俺はいつもより少し早めに家を出て…と言っても遅刻してばかりの俺からしたら、という意味なのでどの道、一般的な普通の通学時間なんだが…
早く、充に会いたい
────ガラッ!
「キャー!」
「福田様~!!おはようございます~!!」
「今日もかっこいい…」
「抱いてくれませんかー!!」
ああもううるせぇ!!
「チッ…」
ついでにいねぇし。どこ行ったんだアイツ
「すーちゃんなら屋上だと思いますよ?」
「あ"?」
「かっこいい顔に睨まれてもかっこいいだけですね」
なんだっけこいつ…昔馴染みとかいう…
雑賀とか言ったっけ
まぁいいや。とりあえず屋上行こ
俺は何も返さずに体の方向を変えて屋上に行った
雑賀ってやつが、苦い顔してたのにも俺は気づかなかった
ダンダンと派手な音を立てながら3段飛ばしで階段を駆け上がる。
屋上について、ガンッと勢いよく屋上の扉を脚で開いた。
「…っ!」
「俺だよ、俺」
声、出てねぇし。
なんつーか、もっと表情筋使えないのかこいつ。無表情のまま目だけぱちくりさせても可愛いだけだろうがよ。
「……ビックリさせんなよ」
「扉蹴ったら、あんな音が出た」
「扉を蹴ったらダメだろ?」
「すんませーん」
隣に座ると「はぁぁ」と盛大なため息が聞こえてきた。
そこまでビビんなくたっていいだろうがよ。
「お前どこ行ってたんだよ」
「教室に居ないのはいつものことです」
「ま、いいけどよ。」
駆け上がってきたのはいいが何を話すか全く考えていなかった俺がなんて切り出そうか…と悩んでいたら「電話した?」と横からぐっとこちらに体を向けて肩ぐらいから覗き込んでくる充がいた。
うっわ、この視点の充の顔キレー…上目遣い可愛い
「んだよそんなに見て、なんかついてる?」
「あー、目と鼻と口と眉毛かな」
「いやパーツじゃん、んでどーなのさ」
こいつ、やっぱ優しいよなぁ
きっと俺から話しにくいことを察して言ってくれている
「電話したよ。今日晩飯一緒に食ってくる」
「そっか、よかったな」
「おう。」
それ以上は何も聞かないでいてくれる充
静かに少し暖かい6月の風の音だけが俺たちを包む。
大した会話なんてしないけどこの沈黙が心地いいと思えるのはきっと充だからだろう。
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