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道中、ナビ見ながらきたけど、何考えたか全然分からない
最早家の鍵閉めたっけのレベルでわからない
───────ピンポーン
「はーい」
バタバタと奥から音が聞こえる。
俺の心臓の音が響いていて外まで聞こえるんじゃないかと
錯覚するほどドクンドクンと脈打っていた。
───ガチャッ
「…おかえり」
「っ…ただいま」
何も言わずに、笑顔で迎えてくれる遙さん。
俺の家じゃないけど「おかえり」と言ってくれる遙さん。
何か言った方がいいかと口を開けたが言葉にならない
それを察してれたのか「とりあえず中入らない?」とクスッとした顔で招き入れてくれた。
「とりあえずご飯食べよう」
そう言って俺たちはリビングに向かった
俺の住んでるマンションと似たような雰囲気で、でも4人で住んでた頃よりリビングは狭くなっていた。
本当に、2人で住んでるんだ
この人達だって、結婚して生活が変わったのにまた2人だけの生活に戻してしまったんだ。俺が。
「座りなさい」
そう言って先に座っている義父さん。
髪を切っていて最後にあった時より短髪になっていた。
ギッと椅子を引いて座る。
最後に話した時と同じ状況、家を2人で出ていくから1人でここに住みなさいと言われた時と、同じ。
ゴクッと唾を飲む音が喉を鳴らす。
「あ、のさ」
そう言って話し始めた。
母さんが死んで辛かったこと
2人が前を向こうと頑張っていたのに、俺の目にはそれが母さんを要らないと言っているように見えていたこと
病院の先生に諭されて2人が頑張ろうとしてることに気づいていたこと
「でも、1人で暮らせって言われた日、謝ろうと思ってたんだ。2人に。でもそう言われてから、謝ったらきっと迷惑になると思って…」
2人は静かに俺の話を聞いてくれてる。
何も言わず、ただ黙って俺に話させてくれてる。
「だったら、謝らない方がいいんじゃないかって、遙さんを追い詰めて、健吾さんも疲れさせて、こんな俺なら離れた方がきっと2人の為だからって、それに、母さんが亡くなった今俺は本当の家族じゃな「怒るよ」え?」
静かだった義父さんが口を挟む
「涼太、僕は洋子さんと結婚した時点で、君のことも背負ったつもりなんだ。子供では出来ないことも沢山ある。だから親代わりになろうと決意して結婚しているんだ。それを自分は血が繋がっていないという理由だけで家族じゃないなんて言葉、使ってはいけないよ」
優しく、淡々と諭してくれる義父さん
その横から遙さんも口を挟む
「私が、弱かったから、一度離れた方がいいんじゃないかと父さんは考えたの。それに涼太は私たちを家族だと思ってくれてないんだと思ってたから、だから離れたのよ。あなたが苦しくない環境で過ごせると思って」
じゃあ、結局お互いがお互いのこと考えて離れたんだ
同じことを遙さんも思ったんだろう
「私たちすれ違ってたのね、」と静かに呟いた。
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