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「お前はいつも一人だな。」
唐突だな…話の流れも何も無かったぞ
「まあな。」
それにしても俺のことなんかよく知ってたな。他人に、しかも俺になんか興味ないだろって思ってたのに。さっきから驚きっぱなしだ。表情には出てないと思うけど
「なんか変わってるなぁって思ってたんだ」
いや~ほっとけ?
てか、お前が言うなよ。俺からしたら福田だって充分"変わってる"に入るんだけどな。
「そうか?ひとりのが何かと楽だろ。それに一人だったら、他の人に迷惑をかけずに済む。」
感情のこもってない口調で淡々と返答する。
ホントは、友達、欲しいくせにな。
好きでぼっちでいるわけでもない。
もしも"普通"だったらこんな生活してないんだろうな。
友達と楽しく明るく生活してただろうし、恋だってしたかもなぁ〜。
"例えば"や、"もしも"の話をしても意味が無いなんて、わかってるのに。今までそんなこと考えなかったのに。ソトの世界を見てしまったからこんなこと思うのか??
白い世界の中ではこんなこと考えなかったのになぁ。
俺はやっぱ弱いな。
一人がいいって言える強さが欲しいよ。
あ、そういえば。
ふと、気になってることを聞いてみた。
「福田って男嫌いなの?」
「はぁ?」
「クラスの奴らが言ってた」
だから俺と話してるってのが少し意外だった。それもあって話しかけてきたことに驚いたんだよ。
「ガヤガヤ喚くバカ共が嫌いなんだ。うるせぇし」
まぁそりゃひどい言いようで。
ま、あんだけうるさければ嫌いにもなるわな
鼓膜潰す気かってくらいうるせぇし。
「んじゃあ俺と話すのはうるさくないからか?」
「まぁ、そんな感じ」
「あーっそー」
適当だな。別にいいけどさ。
入学して生徒の誰かの会話したの初めてかも。
今日はたまたまだけど。
明日からはまたなにもない静かな生活に戻るだろう。
俺は、他人と深く関わってはダメな存在だから。
唯一の家族を突き放してでも、ひとりでいなくちゃいけないんだ。
俺は静かに立ち上がると歩き出した。
「じゃーなー。」
「授業、サボらねぇの?」
「サボるよ。他の場所でな。」
「ふぅん?」
福田の声を聞きながら屋上を出る。
バタンッ
「あー。もう、屋上には行けないなぁ」
そう呟きながら静かに廊下を歩いた。
「んー、次はどこに行こうか」
居場所を失った俺は一人になれる場所を探した
「やっと話せた…」
嬉しそうにガッツポーズをしている福田なんて俺は知らないまま、ウロウロと歩き続けた。
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