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セーラー服と学園祭 1
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そんなこんなでやってきた学園祭当日。
オレは昨日の夜までやっぱり来てほしくないと駄々をこねていたけど、八雲さんの実力行使で黙らせられた。
まあ…何をされたかはご想像にお任せってことで…。
オレの高校の学園祭は、金土日の3日間で行われる。
金曜日は一般公開なしの、クラスでの発表会や部活の演奏会とかがある。
なかでも毎年教師陣による演劇が大好評で、昨日はその感想を八雲さんに言いまくった。
そして一般公開のある土日は全クラスが出し物をする、みんなが思い描くような学園祭。
事前に配られたパンフレットには、お化け屋敷とか占い館とかバザーとか、とにかくたくさんの出し物があるみたいだ。
そんなオレは喫茶店の準備や女装のための化粧(男子はいらないって抗議したけど、こういうときの女子の結束力は泣きたくなるぐらい強かった)で、早く学校へ来ている。
「はよー」
教室の中は、昨日遅くまでみんなで残って作った飾りつけで様変わりしている。
もうクラスの半分ぐらいの人たちが来て準備を始めていた。
「あ、南きたー」
待ってましたとポーチやら櫛やらを片手に持つ女子に
あっという間に囲まれる。
まるで死刑宣告を受けたみたいな気分になって、げんなりと肩を落とす。
「南可愛い顔立ちしてるから楽しみにしてたんだからね」
「はーい、南入りまーす」
とオレが言葉を発する隙もなく、教室の後ろのほうへ連行される。
すでに犠牲になっている男子がいて、アリスの衣装や浴衣など思い思いの女装に扮している。
「柳…」
「どう?」
「……似合ってるんだけど」
そこにはもう柳の姿があって、着替え終わって女子に化粧を施されている最中だった。
そんな柳はミニスカのメイド服を着ていた。
柳はもともと顔立ちもいいから、全然違和感なく着こなしている。
キリっとしたつり目の瞳が、メイド服をよく似合っていた。
ただ残念なのは、そのミニスカから覗く脚が筋肉質だっていうことだけ。
っていうかもうすでにカオスだからこれが全員集まったらどうなるのか怖い。
「はい、南ちゃんはこの爽やカラーのセーラー服ね」
女子に手渡されたのは、襟の部分とスカートが水色のいかにも夏っぽいセーラー服だった。
いや、可愛いけど…可愛い子が着たら絶対可愛いけど…。
実際に自分が着る服を見てしまったら、やっぱり少し気が引けてきた。
けどここまで来たらもう後戻りはできない。
柳も犠牲になってるみたいだし、なにより結束力の強い女子の網目から逃れることはできないから。
女子からは早く着替えろって言われたけど、さすがにキスマークだらけの身体を見せるわけにもいかなくて。
「トイレ行きたいしついでに着替えてくる」
というナイスな言い訳を思いついて、セーラー服を持って教室から出た。
トイレに入って出すもの出して、個室でいそいそと着替え始める。
スカートを履いて制服のズボンを脱いだら、すごくスースーして落ち着かない。
個室から出てトイレの中を往復で歩いてみたけど、やっぱり変な感じ。
柳もあの筋肉質な脚を晒してたし…男らしくないよな…。
って自分に言い聞かせないとやってられない。
オレは意を決してズボンをバッと脱いで、大股で自分の教室へ戻って行った。
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