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「ありがとうございます」
ホテルから帰ってきた僕は、家の近くに車を止めてもらった。
「ん。」
僕はシートベルトを外し、ドアに手をかける……
「裕太」
「なん…わっ」
浮かした腰が、手を引っ張られたことによりもう一度落ちる。
晴山さん寄りになった顔にすぐさま手が添えれる。
ちゅっ
「っ、ぁ……っ」
軽いリップ音が、2人限りの車内で聞こえた。
「じゃあ」
「っ、はい……」
晴山さんは何事も無かったかのようにニコッと笑い、俺から手を離した。
あぁ────ダメだ……。
これぐらいのキス慣れなきゃ……。
心臓がバクバクと脳内に響いて堪らない。
ドクドクと流れる血液が、腰のところでジンジンする。
昨日────あんなことしたのに……
身体を重ねたのに、キスにも慣れないとは……
「ありがとう……ございました……」
僕は半分照れ隠しで逃げるように車を降りた。
「…………。」
そのまま家に向けようとした足は、晴山さんの運転席へ向かう。
その様子に気がついた晴山さんは、少し不思議そうな顔をして窓を開けた。
「どうしたの?忘れ物?」
「あの……っ……」
どうしよ、なんか、これだけで緊張する……ような……
晴山さんは僕の言葉を待つように、くっ、と首を傾げる。
「あの……で……」
「で?」
勢いがあれば、きっと言えるんだろうけど……
シャツの裾をぎゅっと握り、それと同時にちょっと勇気を出した
「デート!! あ…楽しかったです……ぁりがとぅございました……」
「っ!!!」
目線が合わないように、色々な所へ向ける。
カカカッと頬が赤くなり、今すぐに逃げたくなる。
そして、黙っている晴山さんに尚更心配になる。
チラッと目線をあげると────
あっ────────
晴山さんは頬を赤く染めて、唖然とこちらを見ていた。
「晴山……さん?」
「………裕太……お前……」
ボソボソと、やっと聞き取れるぐらいの独り言が、晴山さんからは無意識に出ているようだった。
え、えっと、まだ言いたいことが────
「っ、えと、……ま……」
「……ま……?」
晴山さんは少し放心状態になりながらも、さっきのように僕の言葉を促す。
「また……デート……したいです……」
僕と晴山さんの頭は、ボンッと、それぞれ違う意味の爆発音がした気がした────────。
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