アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
89
-
「う、れし……?」
「だって、き──ぁ──たし……。」
所々、声が聞こえない。晴山さんの顔も見えないし、僕は取り敢えず晴山さんの言葉に必死に耳を寄せた。
「俺、裕太に冷たいことしたし、朝起きた時も、嫌われたかとも考えたし……」
「なっ、嫌いになんてなりませんよ!?」
昨日と違って、弱々しい態度が、なんとなく僕を戸惑わせる。
「……そう……」
短く返事を返した晴山さんは、スルッと腕を外して僕から離れた。
背中にあった暖かさが消えて、求めるように無意識に後ろを見た。
「……裕太、俺のこと好き?」
そっと頬が片手で包まれ、晴山さんの瞳が不安そうに揺らいだ。
「……好き……ですよ」
今、目をそらしたらきっと晴山さんは不安になっちゃう……。
「ほんと?」
「好きです」
「ほんとに?」
「そうですってば」
「じゃあ友達と出かけない?」
「……。」
なぜその方向に回る────。
「それはできません」
「なんで」
晴山さんは目に見るようにムッと拗ねた。
「約束ですもん」
「俺のこと好きなんだよね?」
「好きです」
「じゃあ友達と出かけない?」
「……。」
あれ……?またさっきのに戻ってない……??
晴山さんって結構……わがままっ子?
目の前の晴山さんは、大人っぽくて、カッコイイ。だけど、そのオーラからはどことなく幼さが目立つ時がある。
なんとなく……可愛いとか、思っちゃったり……
クスッ
「今度のデートでいちゃいちゃするのじゃ……ダメですか?」
晴山さんをちょいと見上げて首を傾げる。
すると、表情が固まったままの晴山さんがいた。
ま、不味いこと言ったかな……?
僕のくせに生意気過ぎた?
黙られると不安になる……。
僕はちょちょい、と晴山さんの下ろされていた手に指を絡ませた。
それにビクッとした晴山さんは、ちょっとオロオロしている。……なんか笑えるっ……。
「ね?今回は、許してくれません?」
なんだか、ちっちゃい子供をあやしてるような感じがして自然に頬が緩む。
「じゃあ、……何時まで……?終わる頃迎えに行く」
「えっ」
そ、そうくるとは……
「行くから」
ダメとは言わせない気だったらしい……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
89 / 189