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『兄の事なのに何も知らないのが嫌で…』
さっき言った言葉に嘘はない。
ただ、それが目的なわけでもないのだ。
店員が運んで来てくれたコーヒーに口をつけ、
一息ついた。
僕の目的は、兄さんについて知ることではない。
むしろ、そのこれから質問を投げかける鈴木遥について知りたいのだ。
それとなく聞き出せればいいが、難しいだろう。
だから、結斗さんについての質問から見えてくるものが
何かないかと考えた末のさっきの言葉だ。
結斗さんの話の中にはきっと鈴木遥の過去の話も出て
くる。
そこからどうやって引き出すかが僕の力の見せ所なのだが…。
「兄さんとはどこで出会ったんですか?」
「んー、出会ったのは……バーでだな。」
間があったのは恐らく、そのバーがゲイの人の集まるバーとかだからだろう。
僕は気にしないと言っても、カフェでは他の人の目もあるからな。
「あれですか?」
「?」
「頼んでないカクテルが手元に来て、『これ頼んでない
んですけど』って言ったら、マスターから『これは、
あちらの方からです』って言われるやつ!」
「ブハッッッ!」
警戒心を解こうと思って挟んだネタが思いの外、遥さんのツボにハマったららしい。
セリフのところは声優顔負けの演技で話しだけど、どうやらそこが更に笑いを誘ったみたいだ。
肩を揺らしながら「マスター声渋ッッッ!」って言ってるから。
「そんなのないから!!www」
鈴木遥はヒーヒー言いながら腹を抱えて答えてくれた。
いや、僕も本当にあるなんて思ってないよ?(ほんとに!)
でも、作戦は上手く言ったみたいでよかった。
「…じゃあ、どうやって面識持てたんです?」
「いやぁ、俺が話しかけに言ったからな。
端の方で1人でジュース飲んでる奴がいたから
気になってな」
出会った頃を思い出しているんだろう。
鈴木遥は懐かしむように優しくふわりと笑った。
「ふふ、懐かしそうに話しますね…
いつから兄さんと付き合い始めたんですか?」
「出会ったのが3年前だから……2年目になるのか?」
うろ覚えのようで顎に手を当てて考えている。
見た目がふわっとした優しそうな面持ちのイケメン
だから、なんだか様になっていて羨ましく思う。
きっと大人の余裕とかそう言う雰囲気がないと似合わない。
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