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「…苦しんでるって?」
鈴木遥は一瞬目を見開いたが、初めて出会った時のような笑みを貼り付けて首を傾けた。
(しまった…まだ聞いていい段階じゃなかった…)
なんでもいいから力になりたくって、相手がどう思うとか考える余裕がなかった。
でも…
「遥さん、苦しそうでしたよ。出会った時から。」
初めて出会って、殴られた、あの時を思い出す。
あの時は、結斗さんのことでいっぱいだったけれど、
僕を見た瞬間の鈴木遥の顔は確かに歪んでいた。
「会って2日のやつに、こんなこと言われても困ると
思いますが……」
僕は鈴木遥の目を真っ直ぐに見つめて言った。
「僕を頼ってくれませんか?」
…………………………………………………。
「はぁ?」
笑顔は再び崩れて、顔には“意味がわからない”と
盛大に書かれていた。
「楓くんは、俺のこと嫌いだよね???」
「え?嫌いじゃないですけど…」
好きか嫌いかで言われれば、この僅かな時間で明らかに
嫌いではない方に傾いていた。
なんでそんな事を聞くのかと疑問に思っていると
「あー、兄弟揃っていい子過ぎかよ…」
と、呟いた鈴木遥が自分の頭を掻いてバツが悪そうに
こちらを窺った。
「なんだ、その…、気持ちはありがたいけど、
あんまり深入りはして欲しくない。」
後半の言葉ははっきりとしたもので、やっぱりそうか、と少し寂しい気持ちになる。
「いえ、遥さんが言いたいって思った時に話してくれたら嬉しいです」
そう言って眉を下げて笑うと「うわ、これは…」と言う声が聞こえてムッとする。
「僕が笑うと気持ち悪かったりします?」
少し強みの口調になってしまったが、自分が笑って「うわ」とか言われたらそうなるだろう。
「いや、そうじゃない。けど、えー、これ言わなきゃダメか?」
渋ってなかなか言わない鈴木遥にさらに機嫌が悪くなる。
(本人に言えないってどんな意味なの!?)
「もういいです!次会うときは絶対教えてもらいますからね!」
ガタッと席を立って鈴木遥に指をさし戦線布告(?)をして、逃げるように帰った。
もちろん、会計は済ませておきましたよ?
イケメンですから(キラッ)←
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…あんな、綺麗な笑顔とか見た事ねーよ」
あんなのが結斗の側で毎日生活してると思うと気が気じゃなくなってしまう。
楓くんは自分の顔の良さに無自覚なんだろうか。
俺の思わず出た言葉にムキになっていたことは年相応より幼く見えて、可愛らしく思った。
アレは男にモテるね〜、きっと。
「あいつ、次会うときはって言ってたな…」
自分がゲイだから友達を作る事もしなかった俺だけど、
“次”がある事が何だか嬉しくて、
友人、にしてはだいぶ歳が離れているけど(笑)
その“次”が楽しみなのは、何でだろうか。
俺は、自然と溢れる笑みに気づかなかった。
ーーーー
「げ!あいつ…、支払い済ませてやがる…
歳下に奢られたーー」
しかし、数分でまた頭を抱えることになったのだが。
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