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「食事会、と言っても
今日は、これから家族になる皆んなでの顔合わせが
目的だから、気軽に楽しもうな!」
僕、笹原楓(ささはらかえで)の父が、そう告げると
僕と父の、真向かいに座っている2人の男女がグラスを
傾けた。
僕も父と一緒にグラスを傾け4人で声を合わせた。
「「かんぱい」」
カン と響くグラスの向こうには、
ふわふわとしたマッシュカットの明るい髪に
無表情だが整った顔立ちの男性がいる。
「あ、2人とも、名前は紹介したけど、
直接会うのは初めてだったな」
父から挨拶しなさいと促され
持ち前の営業スマイルで自己紹介を始める。
「楓です。今年で17歳になります!よろしくお願いします!」
「あ、俺は結斗(ゆいと)、今年で20になる。よろしく。」
僕の兄になる結斗さんは、
素っ気ないと言うか、なんだか無愛想だ。
「楓くん、礼儀正しくていい子ね!綺麗なお顔だし!」
新しく母親となる晶子(あきこ)さんは両手を合わせて
にっこりと微笑んだ。
「はは、俺の息子に惚れるなよ?(笑)」
2人の間で笑が広がる。
父さん幸せそうでよかった…。
母を早くに亡くし、男手一つで僕をここまで育ててくれた父さんの幸せを僕も願っていたし、再婚には賛成だった。
新しい兄さんの結斗さんも拒否感は無いようだ。
順調に進んでいった顔合わせは、最後に新しく住むことになる家の話をして一旦解散となった。
帰り道に父さんから、
「どうだった?晶子さんと結斗くんは」
と聞かれ少し考えた。
晶子さんは明るくて、優しそうで、すごくいい人だと思った。
けれど、結斗さんは…
無愛想だし、あまり話にも入ってこなかった。
うまく兄弟としてやって行けるか不安が募るばかりだった。
が
「うん!2人ともすごくいい人たちで
一緒に暮らせるのが楽しみだよ!」
そう、父さんに明るく答えた。
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