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side結斗
わぁぁ////
びっっくり…した!
楓は初めての顔合わせの時から凄く綺麗な子だとは思っていた。
サラサラと揺れる緑の黒髪。
小さな顔にはスッとした鼻と大きく濡れたような黒い瞳に薄い唇。
肌は雪のように白く、華奢でメリハリのある体型。
四肢は長く身長は平均的にも関わらずモデルのようなスタイルだと思わされる。
「はぁ…」
音にならないような小さな溜息をついた。
さっき、思わずベラベラと話してしまった俺を見る楓が優しく笑っていた。
それは思わず見惚れてしまう程綺麗で、きっと俺は凄いアホ面をしていたと思う。
晩メシの時の会話の中で、楓は彼女がいると言っていた。
あの容姿にあの性格の良さだ、学校でもモテるのだろう。
まぁ、引っ越して2日目の早朝の(おそらくイジワルをされたのであろう)出来事を忘れたわけではないが、俺の確実に失敗したオムライスを美味しいとパクつく姿からは優しさしか感じられなかった。
本人は気づいてないだろうけど密かに男からも人気があるハズだ。
俺は男に好かれる男のタイプを知っている。
もちろん、恋愛的にだ。
何たって、俺自身、男が好きなのだから。
だから、楓から彼女がいるのかと聞かれた時に
家族には嘘を吐きたくなかった俺は、彼女、ではなく、「恋人がいる」と答えたのだ。
楓はおそらく気づいてないのだろう。
新しく兄になった家族がまさかゲイだなんて。
言ったらきっと気持ち悪がって2度と俺に話しかけてくれなくなる。
せっかく、いつもうまく喋れない俺に一生懸命話しかけてくれているというのに、それすらもなくなってしまう。
それだけは絶対に嫌だ。
もしもバレてしまったときは、兄弟に手を出すつもりはないとか、年下に興味はないとかちゃんと説明しよう。
それでも気持ち悪がられるかもしれないけど、恋愛対象
として見られると言う誤解だけは解いておきたい。
今は俺にも彼氏がいるんだ。
それに、見惚れるほど綺麗な楓だけれど、楓がこちらの世界に来たとしてもきっとネコだ。
俺もネコだし、交わることは絶対にない。
………うぅ…、こういう事は考えないようにしよう。
いくらもしも話でも申し訳なさで吐きそうだ。
「…どうしたの?兄さん」
俺が青い顔をしているのに気付いたのか、黙り出したのが気になったのか、楓が声をかけてきた。
布団から上体を起こしいる俺に合わせて正座をした楓が顔を覗き込む。
「っ、考え事してただけだから」
弟なんていた事もない。
どう接していいのかわからず素っ気ない返事をしてしまう。
「そっか!よかった!」
また優しく笑う楓を見て、恥ずかしくなって、いつもそんな顔をしていたらいつか襲われるぞ?と注意をしたかったがやはりそんな術もなく黙り込む。
「…そろそろ眠くなったね!
僕は部屋に戻るよ!」
無言の俺に気を使ったのだろう。
おやすみなさい!と言い残して楓は部屋を出て行った。
小さくなる足音と遠くで扉が閉まる音聞いてから、
俺も寝ようと明かりを消して布団に潜った。
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