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周囲の注目を集めてしまった頬の紅葉型の腫れは、なかなか引くことがなく、仕方がないと腫れが引くのを待つようにゆっくり帰路を辿った。
本当にのろのろと歩いていたようで、帰り着く頃には辺りはやや薄暗くなっていた。
「ただいまー」
普段なら「おかえり」とすぐに返事をする結斗なのだが、なぜか今日は家の中が静かだった。
よく見ると靴もなく帰宅していないことがわかった。
「?いつも僕より先に帰ってるのに…」
しばらく結斗の帰りを待っていたが、
いつもなら夕飯を作り始める時間になっても結斗が帰らないことから、よくないことがあったのではと不安をよぎらせたとき。
「…ただいまぁ」
少し掠れた結斗の声が玄関から聞こえた。
「おかえり!」
安心した楓はパタパタと駆け足で結斗に近づくとピタリと動きが止まった。
「…ごめん、帰り遅くなった。」
「え、いや、そんなことより…」
結斗の目元に大きな青あざができていた。
その一点に集中する視線を感じたようで、結斗は眉を下げて「大丈夫」と一言残し、あざを隠すようにリビングへ向かって行った。
あのあざ…
やっぱり、結斗さんの彼女ってゴリラなんじゃ…
見ただけで殴られたのだとわかった。
それに加えて首筋に見えた赤い痕がキスマークだと言うことも少なからず経験のある楓には理解ができた。
しかし、行為の前後にあんな力いっぱい殴る彼女と付き合っているなんて…。
自分の頬の紅葉が可愛らしく感じた。
今日の夕食は簡単にできる野菜の炒め物とコーンスープというメニューだった。
楓は食器を出しながら改めて盗み見た。
青あざが痛々しくて、自分ならこんな事しないのに…と考えてしまっていた。
はっとして、何を訳のわからないことを考えているのだと自分を正し、きっと彼女から振られたのが効いているのだと自分に言い聞かせた。
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