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結斗は元々青かった顔は更に青ざめ、土色になっていた。
「あ、ご、ごめん…」
何故結斗が謝るのかわからない。
悪いのは全て結斗をこんな風にしてしまうコイツだ。
「……兄さん…?」
ようやく楓の声が届いたようで、初めて男のあの完璧な表情が少しだけ歪んだ。
それでも男の表情は読み取れず、何をしでかすのかとハラハラして結斗と楓は黙り込んだ。
「結斗、お前兄弟とかいなかったよな?」
男がドスの消えた声で結斗に問いかけると、ホッとした様子で結斗が答える。
「母さんが再婚したんだ。その再婚相手のお子さんだよ。母さんの幸せを壊す事はしないし、何より兄弟に手を出す気は無い。」
ずっと説明したかった、と言うようにサラサラと自分たちの関係と、自分の意思を話した。
その話を聞いて男は落ち着いたようだった。
しばらくすると眉が見る見る内に下がって行き、申し訳ないと床に膝をつけて土下座の姿勢をとった。
「すまなかった!弟がいるなんて知らなくて、頭がカッとなって確認もせずに手を出してしまうなんて…。」
地面にひたいを擦り付けて謝罪の言葉を述べ、少し顔を上げ、楓の顔面の青じみを見て、
「痛かったよな…、本当にごめん」
と再び頭を下げた。
そのとき、楓は只々結斗の言葉にショックを受けていた。
『兄弟に手を出す気は無い。』
『母さんの幸せを壊す事はしないし、』
断言された言葉に自分の望んでいた可能性を無くし。
また、どれだけ自分の考えは浅はかだったのかを思い知った。
鈍器で殴られたような、酷い衝撃。
(兄さんは僕を好きにならない)
でも…
(兄さんを守るためには手段を選ばない)
こんな暴力男に兄さんを任せられるわけがない。
僕が恋人になる…。
兄さんを気づけさせないために。
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