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暗転からの脱出9
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(葵語り)
俺がセックスをしたい、と言うと先生は驚いた顔をした後、理由を聞いて来た。
あんなことをされてもなお身体を重ねたいと思う俺を呆れるだろうか。
実は、松山の気持ち悪い感触がまだ身体に残っていた。先生に抱きしめられても、キスをされても一向に奴の影が貼り付いて拭えなかった。
それはまるで、タチの悪いカビのように俺を侵食して、消えるどころか広がる素振りを見せていた。
黒い重いもので息ができなくなってしまう。
一刻も早く消したかった。それが出来るのは先生しかいない。
「松山が……まだ消えなくて。先生で浄化して欲しい。先生でいっぱいにしたいの。俺から奴を追い出して。お願い。」
縋るように言いと、先生は困ったような、嬉しいような、表すことのできない複雑な表情をした。
迷惑かな。疲れてるもんな。運転も沢山しただろうし、心配もかけた。
「……うん。いいよ、と言いたいところだけど、隣の部屋には野田が寝てるんだな。声が聞こえないようにできるか?お前の可愛い喘ぎ声を人に聞かせたくないから。」
甘えるように先生が俺の胸に顔を埋めた。
この人はなんでそんなに俺を甘やかして我儘にしてしまうのだろうか。
汚いから、疲れてるからと断ればいいのに、嫌な顔1つせず俺の要望に応えてくれる。
胸が痛くなるほど先生が愛しくなり、涙が少し滲んだ。
「それに、無理そうだったらすぐ止める。震えたり、泣いたらすぐ中止。声はなるべく出すなよ。ゆっくり浄化しよう。途中で寝ててもいいからな。そしたら俺も寝る。」
「途中で寝るってあり得ないよ……ゃんッ。やぁだ……」
スルリと浴衣の胸元に手が入ってきて、袂を広げると、チロチロと舌先で乳輪を舐め始めた。周りを責められるのは地味に下半身にくる。
「だからさ、声を小さくって言ったでしょ。守らないとやめるよ。」
「うん。ごめんなさい。」
「松山にどこを触られたか教えて。まずは……キスはされたか?」
「キス……された。口がキモかった。」
「俺のなのに、本当にムカつく。わかった。」
寝ている俺の顔の両側に腕を立てて、覗き込むように見下ろされた。
「最近言ってなかったけど、ちゃんと好きだからな。何があっても葵無しの人生は考えられない。だから、辛いことも2人で乗り越えよう。愛してるよ。葵は俺が守るから。」
そう言うと、撫でるようなものから徐々に噛み付くように変化するキスを交わした。
2人分が俺に流れてくるから、唾液がうまく飲み込めない。
それにしても長い……口づけだ。
夢中で口を求めていると、上顎を舐められてぞくりとする。
「ふぁっ……俺だって好きな人ぐらい守れるよ。そんなに弱くないもん。」
酸素を取り込みながら、唾液をぬぐい必死で答えると、先生は目を細めて笑った。
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