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青春狂走曲6
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(葵語り)
神田君の南高へは高校時代に練習試合で何度か訪れたことがある。頭のいい生徒達は運動もよく出来るようだ。
彼に適当な返事をしたばかりに文化祭へ行く羽目になってしまった。その後にしつこいくらいのLINEでの確認があり、俺が根負けした。
金曜日は運悪く休講もあり、一限のみになったので終わってから島田と南高へ向かう。島田をダメ元で誘ったら、面白そうだからと快諾してくれた。安心したけど、面白さが基準って島田らしくて呆れた。
ちなみに、先生には何も言っていない。先生が『先生』しているのを見るのが楽しみでもあり、内緒で遠巻きに観察しようかなと思っていた。驚かすのもアリかもしれない。
公立高校、しかも進学校の割には盛況なようだった。平日でも沢山の一般客が訪れている。俺は文化祭独特の解放された雰囲気が大好きだ。手作りのアーチを抜けて、きょろきょろしながら玄関に入ると、待っていた神田君に捕まった。
俺が本当に来るか心配だったんだろう。そういう所は素直に可愛いと思える。
「葵さん、今日は来てくれてありがとうございます。こちらは……?」
「友達の島田。興味あるって言うから連れてきた。会ったことあるよね?」
「よろしくね。ウザい神田君。」
「島田さんですね。よろしくお願いします。」
島田がウザい神田君と嫌味っぽく言っても、神田君は気にもせずに流した。挑発に乗らず、大人な対応に関心する。神田君は案外打たれ強いというか、受け止める器が広い。
「じゃあ、模擬店を回りましょうか。ちょうどうちのクラスはカフェをやってるんですよ。高校生にしては本格的なカフェです。俺は何にも関与していないですけど。」
「神田君は実行委員とかやらないの?そういうの好きそうに見えるけど。」
歩きながら他愛もないことを話す。すれ違う生徒がみんな若くて賑やかで、高校時代を懐かしく思った。先生はいるかな……
「バイトと、ばあちゃんの世話で放課後は手一杯なんで、学校行事の準備には参加できないんです。ここの高校でバイト自体やってる奴は珍しいし、じゃあなんでここに入ったかってよく言われるんですけど、入った時はそれなりにあったヤル気が今は無くなったからですかね。成績はガタ落ちです。落ちるとこまで落ちると気持ちいいですよ。上がるしかないけど全く上がらない、みたいな。」
相変わらず長い神田君の話を聞きながら、階段を横目に通り抜けようとすると、踊り場から楽しそうに響く声が聞こえた。
「こらー」とか「こいつめー」とかまるで青春映画の一幕のような、女子生徒と2人とベタにじゃれている先生がいた。
「……………」
「ほら、変態が女子と戯れてるよ。葵君、ヤキモチ妬いちゃう?僕が慰めようか?ぎゅってしてあげるよ。」
島田が俺にくっ付いて耳打ちしてきたが、もう生徒に変な考えを巡らせるのは散々やってきたので、実際に見てもあまり感じなかった。少しチクリとしただけだ。
「全然平気。いちいち振り回されてたら身が持たないよ。早く神田君のクラスに行こうよ。喉乾いた。」
「おっ、葵君は大人だね。行こうか。」
先生に見つからないよう2人を促して、早歩きで2年生の教室を目指した。
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