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青春狂走曲8
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(葵語り)
先生が俺を見る目つきがいやらしい。
保健室は俺と先生しかいないのをいいことに、着替えで使っていたベッドのカーテンを更に広げて2人だけの空間を作った。
何をする気なのか、誰かに見られたらクビどころかニュースに載っちゃうよ。俺は先生を睨んだ。他所の高校で痴態を晒したくはない。
「ここで何かしたら当分の間口聞かないからね。駄目だよ。先生、聞いてる?」
「聞いてるよ。変なことしないから、こっちにおいで。怖い顔すんなって。ふふふ、葵からコーヒーの匂いがする。あれ、あいつらは?」
「カフェラテ3杯被ったから自分でも酔いそう。冷たかった。島田と神田君は模擬店を周りに行ったよ。後で落ち合う予定。」
立ち上がろうとした俺を先生が引っ張り、隣り合わせにベッドへ座らせた。俺の肩に手を回して、しみじみと先生が語リ始めた。肩に乗る重さが心地良い。この低い声が好きだ。
「この格好を見たら、少しだけ昔を思い出した。今も勿論好きだけど、高校生の葵は本当に可愛かったんだよな。生意気なくせに構って欲しくて、希望通りにならないとすぐ拗ねるし、子供みたいで扱いが大変だった。口も今より悪かったし。そんな所も含めて好きになったんだけどさ、あの時が懐かしいなあと思って。本当に大人になったね。」
何それ……面と向かって言われると、めちゃくちゃ恥ずかしいじゃん。
顔が赤くなり、自然と下を向く。糊の効いた硬くて白いシーツを指先で軽くなぞった。
「それに、素直なところは全然変わってない。そのままで居て欲しいと俺はいつも思ってるよ。いつも輝くような笑顔をありがとう。
さあ、俺達も模擬店を見に行こうか。ここは意外と盛大なんだぞ。どうした?何か悪いこと言ったか?」
これは確信犯なのか、無意識なのか分からなかったが、きゅうっと胸が苦しくなり、俺も好きを伝えたくなる。
先生と違って口下手な俺は言葉を紡ぐのは無理だ。だからいつも口づけを強請る。
「………先生、キス…しよ。」
服の袖を引っ張り、先生にそれを告げると、一瞬嬉しそうな顔をしたので、思惑にハメられたことに気付く。だけど、そんなことはどうでもよくなっていた。
「いいの?何かしたら口聞かないんじゃなかった?さっき怒ってたでしょ。」
口元が意地悪に笑っていた。こういう悪知恵は誰よりも働かせるのが上手い。
分かっていて、俺は首をふるふると振った。
「いいから、キスしたい。」
「………しょうがないな。目を瞑って。」
顎を掬い上げられて、唇が重なった。
柔らかい感触は、自分の唇が覚えている先生の形だ。乾いていて、ほんの少しタバコの苦味がある。この人は俺の全てだ。存在の大きさを改めて感じた。
舌が優しく絡むと、眠気に似た愛しさが胸に広がる。
しばらくキスをしていた。
「先生、そろそろ外に行こうか。」
「あとちょっと……もう少しだけ、こうしていたい。」
少し間を置いて、また唇が重なる。
先生がカーディガンのボタンに手をかけようとしていたので、阻止しながらキスは続いた。
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