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放課後レッスン7
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(神田語り)
玉砕覚悟で、ありったけの想いをこめて片桐先生に告白をした。
椅子に座っていても膝が震えている。うまく舌が回らなくて、言葉をちゃんと紡げただろうか不安になった。何を話したのかも朧げで、あまり覚えていないが、とにかく俺の気持ちを伝えないといけない一心だった。
「…………先生?…………」
「…………あのさ、神田は牧村さんが好きなのに、俺が好きって言ったよな。つまり牧村さんは見込みないから、俺にしとこうとか打算的な考えが丸見えなわけで……複雑なんだけど………」
長めに感じた沈黙の後、片桐先生が苦いものでも食べたような表情をして、額を抑えた。
何かを考えているらしい。打算って何だ?
「そうですか。でも、俺は片桐先生と話していると、ドキドキします。」
これは本当だ。緊張して、顔も前から直視できない。だから、時々チラチラと横顔を見るんだ。牧村さんとはハッキリ違う。
それは恋なんだよと以前葵さんに教えてもらったことを思い出した。恋をすると、その人の一挙手一投足で世界が変わるんだ。
「じゃあさ、俺と牧村さんが溺れていたらどっちを助ける?」
「えーと、牧村さん………ですかね。」
先日、本人から奇跡的レベルのカナヅチだと聞いていたので、これは即答で牧村さんだ。
じゃないと死んでしまう。
「…………次。俺と牧村さんが死ぬほどお腹を空かせていました。どっちにおにぎりをあげようか?」
「すみません。これも牧村さんです」
牧村さんはガリガリで顔色も良くない。お昼を抜いている日も多いみたいだから、食べれる時に食べないと死んでしまう。
だから牧村さんにおにぎりをあげないと。
「神田は俺のことを助ける気がないのか……じゃあ、シンプルに行こう。俺と牧村さんとどっちと付き合いたいんだ?正直に言っていいよ。もはや怒る気すらないから。お前の馬鹿正直な天然には完敗だ。」
片桐先生がアメリカンコメディみたいにお手上げポーズをした。
お付き合いしたいのは、長電話したり、手を繋いだり、色々したいと思うのは………守られたいし、守ってあげたい。
「え……えぇと……片桐、先生です。」
「本当に?俺に気使ってないか?別に牧村さんって言っても気にしないよ。」
片桐先生が顔を近距離に寄せて、俺の顔をまじまじと見る。前髪をキュッと上げられた。
息がかかるほど近い。きっと俺は見るに耐えない顔をしているに違いない。
頰を指の腹で撫でられた。荒く冷たい指の感触が心地良く、しばらく触ってもらいたいと感じる。
「泣きすぎてブサイクだな。俺さ……お前が気になってる。だけど、牧村、牧村って言われて面白くないの。 これが最後の質問。神田は誰とキスがしたい?」
キッキス………キス、キス。
うわぁ、これって何も知らない俺でも分かる。先生と目があったまま、動くことさえままならない。ちゃんと息をしているかも不安になってきた。
「…………あ、あのぅ……片ぎ……」
答える前に先生の顔が更に近づき、唇が重なった。
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