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「なんで悠季くんが謝るの? 謝らなきゃいけないのは俺達の方だよ」
「で、でも……」
机から顔を上げると額がズキズキと痛んだ。
「緋結が悠季くんに引かれたらどうしようって不安になっちゃってね。何にも知らなかったみたいだから」
確かに知らなかった。男同士で付き合ってる奴らがいる事も、昨日のあの出来事も。全部が初めて過ぎて受け入れるには頭が追いつかなかった(アイツがした事だけは死んでも受け入れたくないけど)。
でも、だから元気なかったのか。朝謝ったのもきっと伊咲先輩の話題出したから。昼休みなんて名前すら出てこなかったし。
「俺が言うのもあれなんだけど。緋結と、これからも友達でいてくれる?」
「それはもちろん! びっくりはしたけど、引いたりとかはしてないんで」
俺がそう言うと、伊咲先輩は安心したように笑った。
それよりも、その光景を見て抜いてしまった俺を許してください……。と心の中で手を合わせた。
「ありがとう。それじゃ、俺戻るね」
緋結に放課後来るからと伝言を残して、伊咲先輩は教室を出て行った。
いい人だな。もう優しさが溢れてるよ。緋結が好きなの、分かる気がする。
その後、伊咲先輩とすれ違いで戻ってきた緋結に話したら会えなかった事にショックを受けていた。
「トイレ行かなきゃ良かったよ~……」
「でもまた放課後来るって言ってたし!」
「そうだよね……」
少し笑顔になった緋結にほっとする。
(本当に好きなんだなぁ、伊咲先輩の事)
誰かを好きになった事なんてない俺には分からない感情。そもそも男子高にいる間、俺には無縁だな。軽蔑や偏見はないけど、自分がってなると考えられない。
「て言うか、その……」
「何?」
「伊咲先輩から聞いたんだけど、昨日見ちゃってごめん! 本当に覗きとかじゃないから!」
目の前で手を合わせて謝る。そしたら俯いて黙る緋結に、俺は顔を覗きこんだ。
(え、な、泣いてる!?)
「ひ、緋結?」
どどどうしようっ。伊咲先輩はあぁ言ってたけど本当は嫌だったのか!?
「マジでごめん! 俺、もう二度とあんなっ」
「違うよ! 謝らないで……!」
「え?」
いきなり手を握られて、俺は涙で真っ赤になった緋結の目を見た。
「僕、悠季くんに嫌われるんじゃないかと思って……」
そんな……。俺の方がよっぽど嫌われる事しちゃったよ。
「嫌いになんてならないから! 絶対っ」
「……これからも仲良くしてくれる?」
「当たり前だろ! 俺の方が嫌われる事しちゃったし」
「悠季くんが?」
「えっ、えーと……俺も態度おかしかったから! 色々とさっ」
なんとか誤魔化したら緋結はふふっと笑ってくれた。
(普通に可愛いな……)
「じゃあ、今日放課後一緒に遊び行こう! これからも仲良くしようって事で!」
え、一緒に?
「緋結と俺で?」
「ううん。伊咲先輩もっ」
俺確実に邪魔者じゃね?
「いや、でも「先輩にも連絡しとくね!」」
えぇっ。
断ろうとしたら笑顔で遮られてしまい、るんるんな緋結に断るのも申し訳なくなって俺は頷くしかなかった。
すげー緊張するんですけど!
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