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運命の巡り合わせ
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そして放課後。帰って行く生徒の中、教室で伊咲先輩が来るのを待つ。
「本当にいいの? 俺がいても」
「うん! ラインしたら全然オッケーだって!」
もう断れないな、これ……。別に行きたくないわけじゃない。伊咲先輩は優しいし、緋結も良い奴だし。
(でも明らか俺邪魔……)
なんて心の中で独り言を言っていたら教室のドアが開いて先輩が入って来た。
「ごめんね、待った?」
「眞尋先輩! 待ってないよ~!」
と言って駆け出す緋結。そんな恋人をナチュラルに抱き締める伊咲先輩。王子様とお姫様みたいに見えた。
(カッコいいし、可愛いし。きっとこう言うのをお似合いって言うんだろうな)
「あれ? れいちゃんも来たの?」
(れいちゃん……?)
他に誰かいるのかと思って、緋結の見上げた先に俺も視線を向ける。
って、え!
「お前っ……!!」
そこに居たのはもう二度と会わないと思っていた人物。
てか、会いたくなかった!
「………………………………」
え、無視!? しかも視線逸らされた。
「悠季くん、れいちゃんの事知ってるの?」
「え、あ、いや! 別に、昨日見かけたから……あはは……」
「そうなの? 鈴汰」
伊咲先輩が隣にいるソイツに聞くと、面倒くさそうに口を開いた。
「さぁ。俺は知らねぇけど」
(はぁ!? 昨日あんな事しておいて知らない!?)
冷静を保とうと沸々と込み上げてくる怒りを何とか抑える。
「じゃあ、改めて紹介するね!」
「……うん」
伊咲先輩の腕に腕を絡めながら、緋結は満面の笑みで言う。
「この人が僕の恋人で二年の伊咲眞尋先輩!」
「こら、あんまりくっつかないの」
「え~、せっかく会えたのに。離れたくないもん!」
「………………………………」
なんだこのやりとりっ。伊咲先輩も満更でもなさそうに緋結の肩に手回してるじゃん!
緋結は緋結で甘えた声出してぎゅっと抱きついている。
もう完璧俺邪魔だよね! そもそも視界にも入ってなくね!?
「ほら、鈴汰も紹介しないと」
え、しなくていい! 寧ろそのままイチャイチャしてて! とさっきとは逆の事を思ったけど、緋結はソイツを見て紹介を始めた。
「こっちがね、僕の幼馴染の流木鈴汰! 眞尋先輩と同じクラスなんだよ」
幼馴染だったのかよ! 友達なら未だしも幼馴染って!
俺と目が合うと流木はふっと笑った。ムカつくから睨み返してやったけどっ。
「今度は二人に紹介するね。こちらが僕の一番のお友達で親友の未月悠季くん!」
「よ、よろしくお願いします……」
一応頭を下げる。できるだけ流木の方を見ないで伊咲先輩の方を見た。目が合うと微笑んでくれた。
(やっぱり王子系だなぁ……。カッコいい)
「じゃあ、行こっか!」
「どこにするか決めたの?」
「うん! いつもの所!」
(いつもの所?)
二人しか分からない会話をしながら伊咲先輩と緋結はくっついて先を歩いていく。取り残されたのは俺と、流木鈴汰……。
(き、気まずい)
俺も追うように鞄を待って出ようと、流木の前を通った時。
「覗き魔が緋結の友達だったなんてね」
「!! だから覗きじゃっ」
「かわんねぇだろ」
あぁ! やっぱムカつく!
「これからヨロシクな。……未月悠季」
鼻で笑ってそう言った流木は先に教室を出て行った。
誰が、誰がお前とよろしくなんかするかよ!
「絶っっ対無理!!」
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