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廊下
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〈下僕〉──召使いの男。
昨日、部屋に帰ってからずっと調べていた。何度ネットで検索かけても似たような意味が出てくる。YahooもGoogleも。今朝も起きて検索かけたけど、やっぱり読み間違いではなく、事実。
気分が上がらないまま教室に着いてしまった。
(てか、それよりも……)
初めてされた、唇に触れた生暖かい感触が蘇ってきて慌てて手の甲で拭う。まさか、あんな奴に奪われるなんて思わなかった。この前トイレでされた時よりショックがデカい。
「悠季くん、おはよ~!」
「お、はよ!」
教室に入る手間で後からやってきた緋結に声をかけられてビクッとしてしまう。
とりあえず、昨日の記憶は頭を振って忘れる事にした。女子だったらまだしもファーストキス奪われたからって悩む程、俺は女々しくない。相手がアイツだからムカつくってだけで!
「昨日ごめんね? 寮戻らなくて……」
「いいよ。どっか泊まったの?」
「えっと、うん……」
下を向いて照れたようにもじもじとする緋結。小さい声で眞尋先輩、と呟いた。その瞬間聞かなきゃ良かったと後悔する。もう遅いけれど。
「そっか。良かったじゃん!」
付き合ってるんだしお泊まりくらい普通なんだよな、きっと。てか、じゃあ今までも度々いなかったのって先輩の所行ってたからか。『友達のトコ泊まってくる!』って言ってた本当の意味が今やっと分かった。
一人納得していると、緋結の顔がなぜか赤みを増す。
「うん! 昨日ね、すっごく激しかったよ……」
えぇ! いいよ、内容まで知りたくないからっ。と思っても、昨日の事を思い出してるのか、きゃーっと恥ずかしがる緋結。
(……うん。やっぱ可愛いよ)
照れながらも嬉しそうに話す様子は、とても男子とは思えない程で。女子の会話ってこんな感じなのかなと心の中で思った。
それが俺の朝の出来事。
「はぁああー……」
眠たい授業が終わって、やっと昼休み。
緋結は伊咲先輩と一緒にご飯食べるとかでチャイムと同時に行ってしまった。今だけは一人になってほっとする。恋愛話なんて今までしてこなかったからどう対応したらいいか分からない。
(……でも、話してる緋結は照れたり喜んだり……。可愛かったな)
伊咲先輩の事好きなの伝わってきたし、何より幸せ感で溢れていた。
だけど、し、してる時の話はさすがにどうしようかと困った……。絶対俺も顔真っ赤だったよ。
(にしても、男同士ってできるもんなのかな……)
男女のそー言うのもよく分からないけどさ。あの時は暗くてよく見えなかったし。寧ろ見えなくて良かったんだけど!
なんて思いながら食欲も湧かず、机に突っ伏す。
「……伊咲先輩だったら、全然OKかも」
なんてぽつりと呟いた後、アイツの顔が頭に浮かんできた。
なんでここでアイツなんだよ! 死んでも嫌だっ。と思いながら突っ伏したまま顔を振る。きっと寝不足のせいで思考がどうにかしてるんだ。普段だったら布団に入って秒で寝れるのに。この前からアイツのせいで寝れず終い。思い出すとイラつくから思考をシャットダウンさせる、んだけど。
(……大体、下僕って夢じゃねーかな)
(てか、なくね? あんなキス……。俺、初めてだったのに。返せバーカ!)
(なんで初めてを一番ムカつく奴に奪われなきゃいけないんだよ! しかも男っ)
なんて、考えないようにしても頭はめちゃくちゃ女々しい事を思ってしまう。
(あぁ……もう嫌だ)
「──み、未月くん!」
「ぅえ?」
頭の中で独り言を連呼していたら声をかけられて。顔を上げるとそこに居たのは菜由だった。
「何?」
今の俺はテンション低いよ、ごめんね……。と心の中で謝る。そんな俺に菜由は言いづらそうに目を泳がせた後、俺を視点に合わせてきた。
「未月くんって、」
「うん」
「流木先輩と付き合ってるの!?」
(………………は?)
「……はぁ!?」
二度目の〈は〉は声に出た。思った以上にデカい声だったらしく、教室でご飯を食べていた生徒の視線が俺たちに向けられる。
「どうしたん? 悠季」
「あっ、いや! 何でもないっ」
投げかけられた言葉に慌てて首を振る。
一気に眠気も吹き飛ぶとんでもない質問に、俺は菜由を見上げた。
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