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背後から聞こえてきた声に俺はゆっくりと振り返る(アイツじゃない事を祈りまくって!)。
だけどいたのはやっぱり、
「流木……」
「また覗きかよ。本当変態だな」
はぁ、と呆れたように溜め息を吐いた流木は静かにドアを閉める。
「で、腰抜かしたわけ?」
「っ……」
見下ろされる視線に、俺は俯いてぎゅっと唇を噛んだ。
ムカつく。ムカつくけど事実!
でも、もうコイツに助けなんか求めたくない。
「面倒くせー下僕だね。お前」
「うわっ」
なのに、流木はいきなり俺を抱き上げてきた。お姫さま抱っこで。
「下僕じゃねーし! 離せ!」
「るせぇよ。黙んねぇとキスするけど?」
「!!」
(それは嫌だ!)
そう思って俺は暴れるのを止めて仕方なく黙る。菜由たちにバレるかもしれないしなっ。
「素直じゃん」
ふっと笑う流木にイラっとして俺は大袈裟に顔を逸らした。
(クッソ! ムカつく!)
結局こうなっちゃうのかよ……! もう帰りたい(家に)。
連れて来られたのは俺の部屋ではなく。二階にある二年棟の流木の寮部屋(しかも一人部屋)。二人部屋よりは狭いけど、一人には十分な広さだった。にしても何も物がない。あるのはベッドと机、その間に小さいテーブルがあるだけ。
俺はそのテーブルの前に下ろされた。
「何か飲む?」
「え、じゃあココア……」
嫌味か文句でも言われるのかと思ったら飲み物を聞かれて一瞬焦った。
「んなもんあるかよ。ガキ」
「なっ、」
「お茶にしとけ」
そう言って冷蔵庫から缶のお茶を出された。
(なら最初から聞くなよ、バカ!)
飲み口を開けて、苛立ちを流し込むように一気飲みする。
「っ、ごほ……!」
途中で咽せたけど。
(噴き出さなくて良かったっ)
「人の部屋汚すなよ」
咳き込む俺に、目の前のコイツはすげぇ嫌そうに眉を寄せた。
いやいや、そこ普通は大丈夫? とかじゃね!?
「ご、ごめん」
ガチで嫌そうな顔されたら謝るしかできなくて。
(勝手に連れて来られて謝るのも癪だけどな!)
目の前の流木からは何の返しもなく。チラっと見たらブラックの缶コーヒーを飲んでいた。
てか、そもそもなんでコイツの部屋なんだ。帰ろう、そう思って全身の力を足に集中させる。
「……お前、覗き趣味なの?」
「ちげーよ!」
立ち上がれるかもと思った時、さほど興味もなさそうに流木が聞いてくる。俺はもちろん全力否定。
「なら、もう時間ギリギリに風呂場行かない事だな」
「? なんで……」
「また見たいわけ?」
「っ、み、見たくない!」
その言葉の意味が分かった。遅い時間だとあんな事してるカップルがいるって事!?
「それと、空き教室とか体育倉庫も見ない方がいい。ろくなもん見ねーから」
(ろくなもんって……)
でも確かに空き教室は見ないようにしていた。緋結の事があってからは。
(てか、もう学校でしないで下さい。マジで!)
切実に思いながら、残りのお茶を飲み干した。
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