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起きても地獄
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「ん……」
(……朝?)
窓から差し込む光なのか、目を瞑っていても眩しい。
にしても、なんかあったかいな。人肌と言うか……。…………人肌?
その疑問に重い瞼を開けると、流木に抱き締められていた。
「なっ、」
どんな状況だよ! 何コレ!?
一気に目が覚めて、俺はその腕を振り払って起き上がる。
「な、なんでっ……」
え、ちょっと待って……とりあえず落ち着こう! 昨日気失って、そのまま寝て、服はちゃんと着て、る……けど、明らかに俺のじゃない?
肩からずり落ちそうだし裾も余りに余っている。そもそも黒シャツなんて俺は着てなかった。
(も、もしかしなくてもこれって──)
「ん……」
「!!」
辿り着きたくない答えが頭に浮かんだ時、隣で寝ていた流木が眠たそうに体を起き上がらせてきた。その服は俺と同じVネックの黒シャツ。
(うわ、もう絶対コイツのじゃん!)
「お前、うるさい……」
「っ」
眠そうに開かれた目と低い声に何故かドキッとした。
(……不整脈だ! 不整脈っ)
速くなる心臓の音にそう言い聞かせていると、流木が枕元にあった携帯を手に取る。
「まだ十時じゃん。もう少し寝かせろよ」
「俺、帰る」
「ざけんな、バカ」
なんでだよ!
また毛布に潜り込む流木に腕を引かれて巻き添えをくらう。
「ちょっと! 寝るなら俺帰ってもっ」
「ダメ。お前下僕だろーが……」
そう言ってまた腰に回される腕にがっちりホールドされてしまう。コイツはまた規則正しい寝息を立て始める。
「嘘だろー……」
どこまで自分勝手なんだ……。てか、寝んの早くね?
流木の胸の中で一つ息を吐いて、仕方なく俺も目を閉じた。
「いつまで寝てんだよ」
「!!」
さむっ。
いきなり布団を取られて、目が覚めた。
「何すんだよ!」
起き上がると流木は私服で立っていて、その姿にぽかんとしてしまう。
(一瞬誰かと思った……)
黒のVネックのシャツは白のニットに変わってて。その上に着ているジャケットは高そーな黒色で、下は無駄に長い足が分かるパンツ姿だった。首元にはシンプルなシルバーの十字架のネックレスが光っている。
(え、本当に同じ高校生?)
少し悲しくなって目を逸らす俺に、流木は追い討ちをかけるように言ってきた。
「人のベッドで何爆睡してんの、お前」
呆れたように言われてカチーンときたけど、言い合うのも面倒くさくて俺は何も言わずにベッドから降りる。
これでやっと解放される! と思ったのも束の間、流木の二言目に俺は絶望する羽目になる。
「早く支度しろよ」
「は?」
「出掛けんの。着替えろ」
「なんで!? 休みの日までお前に付き合いたくねーし!」
そう言ったら凄い睨まれた。意味が分からない!
「昨日、また覗き見してたお前助けてやったの誰だっけ?」
「覗き見じゃなっ「風呂貸してやったのも忘れたわけ?」」
(うぐ……っ)
じりじりと詰め寄ってくる流木をただ睨むしかできない。
(俺が頼んだわけでもないのに!)
「お前の部屋行くぞ」
ムカつくけど、今の俺に拒否権なんか無いに等しかった。
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