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アイツの元恋人、亜宮先輩に呼び出された俺は今中庭に連れ出されていた。気分とは裏腹に澄み切った青空が憎らしい。
「あのさ、」
俺に振り返って、その人は言った。
「鈴汰と別れてくれない?」
やっぱりアイツ絡み!
「あの、俺別に付き合ってないですけど」
先輩だから冷静に冷静に……。と思いながら話す。
でも亜宮先輩は納得する様子じゃなく。
「じゃあ、なんで鈴汰の部屋泊まったりデートしてるわけ?」
デート!? 何それ! あんなのただの荷物持ちだからね!
「泊まったのは……て言うか、たまたま寝て、起きたら朝だっただけです。しかもデートなんて、俺男ですよ」
泊まった内容まではさすがに言えない。俺が惨めになるだけだからな。
「ふざけないでよ。どうせ鈴汰をたぶらかしてエッチしたんでしょ?」
はぁ!?
「してねーよ! なんで俺があんなヤツと!」
てか、ストレートに言い過ぎじゃね!?
(……あ、しまった。もろタメ語で言い返してしまった)
「ふーん。なら、もう鈴汰に近付かないで。次近付いたらただじゃおかないから」
なっ、別に俺から近付いた事なんかねーし! 近付きたくもないわ!
「じゃあね」
そう言って亜宮先輩は背中を向けた。
(あぁー、マジでムカつく!)
何言っても俺の事信じてない感じ。
「……イライラする!」
呟いた後に昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。同時にさっきマナーモードにした携帯がポッケの中で振動する。
「またかよ……」
画面を見ると『鈴汰に近付くな。ブス』と書かれた文面。教室で見た時と同じ内容。
アイツに街へ連れていかれた日曜日からこんなメールが毎日届いていた。もちろん宛先不明。
「はぁ……」
多分、相手はアイツのファン。菜由から話を聞いた時、確信した。
(見られてたなんて思わなかったし)
なんで、俺がこんな事に巻き込まれなきゃいけないんだよ。楽しかったのに。アイツに関わるまでは! そう思ったらまたイライラしてしまった。
あれから午後の授業を終えて、寮へと帰ってきた。早めに風呂入ろうかなと思って、準備をしていたらドアを開く音がして。振り返ると緋結がいた。
「おかえり。俺、これから風呂い「悠季くんっ」」
うわ、びっくりした!
いきなりガバッと近付いてきた緋結に驚く。
「ど、どうしたんだよ?」
何かあ……、
「今日、亜宮先輩に呼び出されたって本当?」
「っ、なんでその事……!」
菜由しか知らないはず。
「噂で聞いて、菜由くんにも聞いたらそう言ってたから」
噂って、広まるの早! 一体どこから流れたんだよ……。
なんて思ってたら、緋結が心配そうな表情で聞いてきた。
「亜宮先輩に何か言われた?」
「あー、うん。アイツに近付くな、とか……」
「やっぱり。大変だったね」
そりゃあもう! こうなったのも全部アイツのせいだけどな! 俺からなんて死んでも近付かないのに。
「れいちゃんの事好きだから、亜宮先輩」
「……へぇ」
俺には全然分からない。どうしてあんな魔王がモテるんだ。やっぱ顔? てか、そこしか考えられない。
「だかられいちゃんに好意寄せてる子、退学にまで追い込んじゃった時もあってね」
「退学!?」
「亜宮先輩に呼び出されたって聞いた時、もしかして悠季くんもって、思っちゃって……」
(えぇ、泣いてる!?)
肩を震わせてる緋結に俺は戸惑う。しかも泣き声だし。
「だ、大丈夫だよ! 俺はっ」
「……ほんとに?」
涙目で見上げられて俺はコクコクと頷く。そしたら笑顔になった緋結に安心した。
「でも、驚いたよ。れいちゃんの部屋に泊まってたなんて。しかもデートまで……。いつから付き合ってたの?」
「だから違うんだよ! それ誤解!」
一体どんな噂の広まり方したんだ!
慌てて否定する。
「そうなの? 残念だなぁ」
何が!?
「なんで緋結がショック受けてるんだよ……」
「だって、れいちゃんと悠季くんお似合いだよ! そしたら四人でダブルデートもできるし!」
確実に後者が目的だろ、コイツ!
「顔もカッコいいし、付き合っても……」
「絶っっっ対無理!!」
どんなに仲の良い緋結のお願いでも無理!
即答したらなぜかまたショック受ける緋結に俺は溜め息を溢した。
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