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「へぇ、ちゃんといたんだ」
コイツが戻って来る前には五限が始まるチャイムが鳴って、静かになった廊下に声が響く。
(お前が待ってろって言ったくせに!)
「別に、痛いから休んでるだけっ」
頷くのも嫌で反論する。てか、戻ってくるの遅くね? と思いながら流木の手を見たらポッケに突っ込まれていた。
「あれ、ノートとプリントは?」
「神矢(かみや)に届けてきた」
「えっ」
平然と答える流木になんで届け先が分かったのか疑問になったけど、聞く前に抱き上げられてしまった。また横抱きで。
「ちょっ、何す「足捻ったんだろ」」
遮って言われた言葉に何も言えなくなってしまう。
「だ、だからってお前に関係ない! 下ろせよっ」
両手でコイツの肩を押すけどビクともしないどころかそのまま無視して歩き出しやがった。それに、さっき肩を打ったせいで力が入らない。
「流木って、ばっ……んぅっ」
暴れる俺に階段を下りた所でやっと立ち止まってくれて。
だけど、次の瞬間近付いてきた無駄に整った唇にキスされてしまった。不意打ち過ぎて顔を逸らす余裕もなく。
「ふ、んんっ……」
口内をひと舐めしてから解放された。
「うるせぇよ。バレてもいいわけ?」
「っ……」
確かに、今は授業中。しかも一階は三年の棟。
(これ以上先輩たちに目付けられたらマジでヤバいっ)
コイツのされるがままは悔しかったけど、自分の身の安全の方が今の俺には第一優先で。
だから仕方なく、唇を噛み締めるしかなかった。
────────────────────────
「ここって……」
静かな廊下を歩いて着いた場所は一階にある保健室だった。
(初めてくるかも)
ガラッと流木がドアを開けると、椅子に座って作業していた千倉先生がこっちを見てきた。
「あら、流木くん。私用での保健室利用は禁止ってこの前、と言うか昨日言った事忘れたのかしら?」
第一声の千倉先生の言葉。顔は笑ってるけど、どこか怖い。
(て言うか、私用ってなんだろ)
流木を見上げるとその表情は変わらず、中へ入るとドアを後ろ手で閉めた。
「あなた、一年生?」
「あ、はい。未月悠季です」
椅子から立ち上がった先生はコツコツとヒールを鳴らしてこっちへやって来る。
膝上の黒いレザーのタイトスカートから伸びた足はすらりと長くて。それに、赤いヒールと白衣が似合うのを初めて知った。腰まであるウェーブがかかったダークブラウンの髪にヒールと同じ色の赤いリップ。
(え、ホントに保健室の先生?)
と思う程の綺麗さ。身長も高いし(ヒールの高さもあるんだろうけど)。何より、胸も……ヤバい……。
そんな千倉先生が間近にきて、俺の顔をじっと見つめる。ばっちりと化粧をした、大きいブラウンの目に見つめられて、ドキドキしてしまう。
「流木くん、あなた趣味変わった?」
は? 趣味……?
ドキドキと煩い心臓に耐えきれず口を開いたら、先生の声が先に出ていた。
「……別に。コイツが足捻ったから連れてきただけ」
「転んだの?」
「階段から落とされ「お、落ちたんです!」」
慌てて流木の言葉を遮って訂正する。じっと二人分の視線を浴びて冷や汗が出る。
「えっと、その、踏み外しちゃって……あはは……」
笑って誤魔化すと、先生はわかったわ、とだけ言って離れた。何も聞かれなかったからとりあえずは一安心。流木もそれ以上何も言わずに、先生が案内した椅子に俺を座らせた。
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