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この関係とは?
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「はぁー……」
あの理科室での事から一ヶ月、十月に入って北桜の制服はブレザーやセーターと衣替えをした。今は週末の土曜日。
午前中の授業が終わって早々に寮へと帰ってきて。山本はそのまま剣道部の部活に行ったし、緋結は伊咲先輩の所へお泊まり。
あの日、未だに誰かに見られてないか不安で仕方ない。最後の方、絶対声出てたもんな。
「もう、最悪……!」
夏休みだけかと思ってたのに。
現実は理科室の一件だけに留まらず、毎週土曜日、なぜかアイツに呼び出されてはあんなことをされている。おかげで腰や尻が怠くて。鈍痛も酷いし。
なんで土曜日かってのは同室の緋結が伊咲先輩の所へ行くから。
俺も無視して行かなきゃいいんだろうけど、行かないとアイツとの関係バラすって脅される始末。関係って言っても勝手に下僕にされてるだけなのに。ほんと最悪の魔王!
二学期に入って、やっと嫌がらせも落ち着いたのにアイツと毎週会ってんのがバレたらまたぶり返してしまう。せっかく元の生活に戻ったんだからそれだけは避けたい。
「………………………………」
(……元の生活……)
ではないのかもしれないけど。頭の中でリピートした後でそう思う。
「……なんで俺なんだよ。もうっ、」
寝返りを打って、枕に顔を埋めながら何度も思った疑問を口にする。
アイツなら寄ってくる奴たくさんいるのに。いや、相手してるんだろうけどさ……。平日は会ってないからよくわからない(知りたくもないしな!)。
結局、岸田と林の彼氏? もアイツではなかった。後々緋結に聞いたら別の二年の先輩と付き合ってるらしくて、ラブラブらしい。
おかげで全く関わらなくなった。他の奴からも嫌がらせのメールや呼び出しがなくなったのは不思議だけど。亜宮先輩も、謹慎期間が終わって学校来てるみたいだけど会わないし。よくわからないことだらけ。
(すげぇ流木のこと好きだったから、冷めてはないと思う……)
ただ、問題がなくなると今度は別の問題が出てくるわけで。
アイツとの変な関係もそうだけど、体に付いてる赤い痕(キスマーク、だっけ)が緋結たちに見られてから彼氏いるんじゃないかって毎日のように疑われてしまう。
絶対ダニかと思ってたのに。寧ろその方が良かったと今なら思う。
唯一、一緒にいる山本はそんな疑ってこないから良かったけどさ。面白がってはいるけど。
「はぁ……。ほんと散々だ、マジで……」
いつになったら自由になれるんだ。そもそもどこでどう間違えてこんなことに……!
なんて思った時、コンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。
「? 誰だろ……」
まさかアイツ、なわけないよな。こんな早い時間から会ったことないから。
そんなことを考えているともう一度ドアをノックする音が聞こえて、渋々ベッドから下りる。
「悠季、いないかと思った」
「! 柏原」
ドアを開けると柏原がいて。その顔には汗が首元まで伝ってる。
「どうしたんだよ。部活は?」
「あるけど、ちょっと悠季と話したくて」
話?
「なに「明日、ヒマ?」」
目線を泳がした後、俺に焦点を合わせてそう聞いてくる。
唐突に聞かれた質問。明日は何も予定がないけど、ここ最近はアイツの相手をした翌日だからベッドでぐったりとしていた。
(多分、遊ぼうとかかな)
「やっぱ用事ある?」
「あ、いや! 大丈夫! 暇だからっ」
そう答えると、沈みかけていた柏原の表情が笑顔になった。
「マジ? 良かった! 明日、部活休みになったから一緒に街いこうぜっ」
予想していた誘いに今度は二つ返事で即答する。
毎回アイツの相手で時間無駄にするのも嫌だし、気分転換もしたい。
「でも、せっかく休みになったのに俺でいいのかよ?」
柏原は部活でもそれ以外でも友達は多い。それにモテるから誘って欲しい奴なんてたくさんいそうなのに。俺となんて昼休みにいくらでも遊べるから勿体ない気もする。
けど、柏原はそんな風には思ってなかったみたいで。
「いいに決まってるじゃん。あ、俺そろそろ戻らないとだから後でラインするな!」
「うん。わざわざありがとっ」
「いいって。俺が悠季に会いたかっただけだから」
ぽんっ。
「っ、」
去り際、俺の頭を軽く撫でて柏原は走って行った。
(なんか、一瞬ドキッとしてしまった!)
「だ、誰にでもあぁなのかな……」
撫でられた頭を自分の手で触りながら、そりゃあモテるだろうよと思ってしまう。例えそれが同性でも。
柏原の姿が見えなくなって俺はドアを閉めようとした。
(まぁ、アイツには今日断われば──)
なんて思った時、ドアが閉まる直前で止まった。
「!? え……」
何事かと上を向くと隙間からドアを掴んでる手と下には足の爪先がギリ滑り込んでいて。ドアが閉じるのを阻止していた。
(だ、誰だよ!?)
「……何してんの。お前」
もう一度開くドアと聞こえてきた声に、コイツしかいなかったと激しく納得したのは言うまでもない。
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