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親友 1
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お互い無言のまま祐也の家に着いた。
扉が開くといつもの柑橘系の香りが鼻を霞める。
二人とも雨に濡れてびしょ濡れで、入った玄関の床に水溜まりを作っていく。
冬の雨に直接打たれた身体は芯まで冷えて凍えそうだ。
祐也にまでこんな思いをさせてしまったことに凪は申し訳なくなり、謝ろうと口を開きかけたとき、祐也が遮った。
「凪、先に風呂入ってこい。風邪引くぞ」
「え…?」
そういって祐也は部屋に上がっていくと、玄関に佇んだままの凪にバスタオルと新品のパンツを渡される。
上半身だけ衣服を脱いだ祐也の裸から何となく凪は目をそらした。
「…いや、いいよ。祐也から入れ、俺は大丈夫だし」
先に俺が入るのは図々しすぎる。
祐也まで巻きぞいにしてしまった罪悪感から凪は祐也に譲ろうとした。
「いいから、お前が先に入れ」
祐也はそれを断り凪にお風呂へと促すように腕を引っ張る。
「わ…っ」
慌てて凪は履いていた靴を脱ぐとお風呂場へと連れていかれる。
「ちょ、祐也」
「お風呂溜めたほうがいいよな」
祐也はそう言うと浴槽にお湯を溜める。
「いいって、俺後から入る」
凪はここまでしてくれる祐也に申し訳なかった。
お湯を出して、調節している祐也の背中に声を掛ける。
「…いいからお前が先に入れ」
祐也は凪に向き直り、凪に先に譲る。
「いい!祐也が先に入れ!」
「お前が入れ」
意固地になる二人はこういうところは似ていて、お互いが折れないことも知っていた。
凪は暫く無言になると、意を決したように提案した。
「…じゃあ一緒に入ろう」
そう呟いた後祐也の顔が驚いたように強張った。
「…は…?」
祐也は信じられないというような顔をして見せる。
そりゃそうだ。野郎同士で狭い風呂に入るなんて気持ち悪いとしか思えないだろう。
だけどお互い冷えた身体のままいるのは本当に風邪を引いてしまう。
じ、と凪を見つめる祐也の口が開いた。
「…いや、それはまずい」
必死な顔をしてその提案を拒む。
そこまで嫌なのだろうか。
何となくムッ、とした凪は半ば強制でも入らせなきゃ気がすまない。
「は?…何がまずいんだよ。意味わかんねぇ。とっとと入るぞ」
湯気の立ち込める風呂場に我慢ができなくなり凪は冷たく濡れた衣服を脱いでいく。
凪がシャツに手を掛けたとき、強い視線を感じた。
凪はその視線を送る相手を見る。
「…なに。早く祐也も脱げよ」
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