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変移 2
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それから三日が経った現在、学校も歯医者にも行かずに引きこもっていた。
理由は会いたくない人がそれぞれいるからだ。
学校へ行けば祐也に会う事になる。
あんな気まずい別れ方した祐也に、どんな顔して会えばいいのかわからない。
別れ際に自分が見せた表情について言い訳できるほど器用な人間ではない。
感がいい祐也のことだから何か思ってはいるんだろうけど、それを確かめる勇気なんてものも持ち合わせてはいない。
「はぁ……」
重い溜息をひとつ溢した。
先程から何度も携帯へと手を伸ばしてはがっかりしてを繰り返している。
その原因を作っているのは勿論『アイツ』だ。
三日経ったというのに、あれ以来まるで音沙汰がない。
何となく歯医者にも行きづらくて予約をキャンセルしたというのに、そのことに対して何か電話が掛かってくるわけでもなく、メール一通すらない。
一応、斎の誤解は解けたわけだから、変な疑いは持っていないけれど、別の意味で心配になってくる。
(…飽きた、とか……?)
一瞬、そんなことが頭を過ぎって考え込む。
「……いやーないない。だってこないだの話だし!」
邪念を振り払うかの如く、うんうんと頷く。
(だけど待てよ…?アイツは出会った時から俺と付き合ってるとかなんとかほざいてたよな……?そうなると…いわゆる倦怠期ってやつなんじゃ………)
倦怠期なんて、経験したこともないけれど、普通のカップルには必ず訪れると言われているあの倦怠期なのだろうか。
「つーか…カップルって……」
斎は付き合ってると言ったが、自分としてはどこか割り切れないでいた。
確かに斎のことは好きだと自覚もしてるいるし、付き合ってると勝手に決めつけられていたことに嬉しさを感じたのも事実だ。
けれど、そもそも男同士なわけで。男と付き合うなんて考えたこともなかったし、これからもないと思っていた。
(付き合うことに抵抗があるっていうか……)
「はぁ……」
いまは何も考えたくない。布団を頭まで被り、無理矢理目を閉じたのだった。
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