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「凪、ごはん食べようか」
髪を撫でていた祐也が笑顔で言った。
俺は、どうしたらよかったのだろう。
祐也が離れてしまうことを恐れて、その場しのぎで好きだと言ってしまったことを後悔している。だけど今更、違いました。なんて言ったら、きっと、祐也を傷つけるのは目に見えているし、確実に、もう会えなくなる。
斎と一緒になる為に、祐也という友達を、切り捨てればよかったのか――?
そんなこと、俺には、できない。
「凪?」
祐也が、反応がない俺を心配そうに見つめる。
「…あ、ごめん。食べようか」
祐也の膝の上から降りて、立ち上がる。
真中に座っていた祐也が横に移動すると、コンビニで買ってきた弁当を、袋から取り出して、目の前のテーブルに置いた。
「凪?おいで」
ずっと立ち尽くす凪に気づいて、祐也がソファを優しく叩くと、隣に座るよう促される。大人しく、横に座ると頭を撫でられた。
「…俺、子供じゃないんだけど」
「んー?知ってるよ?俺の可愛い恋人だもんね」
祐也がにこりと微笑んだ。
「恋、人…?」
衝撃的な言葉に、僅かに声が震えた。
「うん」
「だってさっき、凪は俺の事『好き』だって言ったよね?だから、恋人」
「ちょっと待って、俺…そういうの抵抗あるっていうか、なんていうか…男同士で付き合うのは気持ち的にまだ準備できてなくて……」
言い訳だけれど、恋人関係になることを回避するには、仕方がなかった。
「大丈夫だよ、俺も初めてだし。ゆっくり進めてこう」
「う、うん……」
曖昧な返事を返した。
これは、回避出来たのか…?
その後、食事を済ませた凪は、祐也の家を後にするか、迷っていた。
このまま、祐也と一緒にいると、平常心を保てそうにない。
友達に告白されたのだ。しかも、その場しのぎとはいえ、自分も好きだと言ってしまった。そして、恐らく祐也と付き合っているであろうこの状況に、とても耐えられそうにない。
無理だ。帰りたい。
勇気を出して、ソファから立ち上がる。
「あ、そろそろ風呂入る?」
「へ?」
「風呂。さすがに入るだろ?」
「…あ、あぁ…うん」
失敗した。つい、帰ると言い出せなくて頷いてしまう。
「沸かしてくるね」
「あ…うん…ありがとう……」
そう言うと、祐也が風呂場に行くのを見送る。
もしかしたら、今のうちに帰れるかも。そう思い、自分の鞄を持とうとした、その時。
扉が開いて、祐也が登場する。びくりと身体が大きく跳ねた。
「どうした?」
鞄を持ち、立ったままの凪を見て不思議そうにしている。
「いやっ、ほら、着替え!準備しようと思って…ははは」
「凪、着替えなかっただろ?俺の貸すから待ってて」
「あぁ…!言われてみればそうだった…!はは…」
祐也がクローゼットから長袖と短パン、新品のパンツを取り出すと、「はい」と手渡された。
すぐにお湯が湧いて、祐也にぐいぐいと風呂場へ手を引かれる。風呂の場所くらい見たらすぐに分かるのに。なんて思いながらも後ろをついて行く。
綺麗で清潔感のある脱衣所に連れられて、祐也が扉を締める。
「じゃあ入ろっか」
祐也はそういうと何の躊躇いもなく着ていた上着を脱いだ。鍛えられた身体が露になる。
「ちょ、ゆ、祐也も一緒に入んの!?」
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