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風呂から出ると、夜八時を回っていて、バラエティ番組を観ながら祐也が髪を乾かしてくれた。何だかんだで、一部を除けば至れり尽くせりな一日だったように思う。
「凪、そろそろ寝よっか」
祐也がそう言って、テレビを消した。テレビが消えると、間接照明の灯りだけが暗い部屋を照らしている。部屋に静寂が訪れて、祐也がソファから立ち上がると、手を差しだされた。反射的に手を置くと、祐也がしっかりと手を握ってきて、ベッドへと連れていかれる。わざわざ手を繋がなくてもいいのに。そう思ったけれど、祐也は昔から人との距離も近いので、そう気にならないことでもあった。
「俺、ソファで寝るよ」
ベッドに連れられてから言うのもなんだが、二人一緒のベッドで寝る雰囲気に、少々躊躇する。だが、案の定、祐也がだめだと子供のように駄々をこねたので、祐也が寝つくまで一緒に寝ることにした。まるで母にでもなった気分だ。後でソファに戻ろう。そう思って、祐也の隣に横になった。
その様子に満足したのか、祐也が、突然、唇を重ねてきた。
あまりに突然だったので、凪は抵抗することもできず、目を丸くしただけだった。
「…っ」
「おやすみ」
目を細めた祐也が、そう言うと、身体を抱き寄せられる。
顔のすぐ前に祐也の胸があって、耳を澄ますと心臓の音が心地よいリズムで鳴っている。暖かな祐也の腕のなかで、凪は複雑な心境でいた。
幼馴染の祐也。そして、斎。
俺は、斎が好きだ。
どこが、と言われるとわからないけど、斎に惹かれてる。それほどはっきりとした気持ちを持っている。
だけど、祐也は。
祐也に対して、幼馴染でない新しい一面を見て、どきどきとしたことは確かだ。けれど、それは単に祐也の知らない部分を見たからにすぎない。
こんなハッキリとしない関係は、いずれ終わらせなくてはならない。そうでないと、祐也にも、斎にも失礼だ。
きっと、祐也に告げると、もう二度と会ってはくれないかもしれない。だけど、祐也に会えなくなるから、と恐れていては、きっとダメなんだ。
だから、祐也にちゃんと話をしなければ──
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