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小さい頃、母親に近所の歯医者さんへと連れて行かれた凪は、散々な目にあった。
『はーい、痛くないからお口開けてね~』
優しい口調で囁きながら、やることは非人道的。あの不快なドリル音、骨の髄まで響く振動。
『痛かったら右手を挙げてね~』
そう言いながら、挙げたところで手加減どころか、あと少しだからね〜なんて、必死の訴えも素直に聞きやしない。
俺は小さいながらに悟った。人間の所業じゃない、鬼だ、と。
地獄へ行ったことはないが、恐らくここは拷問を受ける場所なのだと、幼い頃、そう解釈した。
それからは虫歯が出来ないようしっかり歯磨きをしてきたつもりだ。
それなのに何故か虫歯が出来たのである。
神は俺を見放したのか。
「…俺、何かしました?謝るから歯治してくれません?」
洗面所の天井を見て呟くものの、もちろん返事が返ってくるはずもなく、家から一番近くにある歯医者に電話を掛けて、予約した。
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