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#6
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胡蝶side
パタン
扉が開いて、閉まる音がした
「よぉ」
…さっきの、関西弁の人?
「今日からお前のお守りすんねん
ハヤトや、よろしゅうな」
「…」
「おい!
…挨拶くらいせんか!」
「…」
すみません
僕、喋れないんです。
「…チッ
ほんなら布団敷くから、どき」
「…」
僕は、動けずにいた。
部屋の隅に行かなければいけないのに
部屋の隅がどっちかわからない。
とりあえず、僕は壁に触るまで座ったまま移動した。
「…お前、捨て猫なんか」
「…」
違います。
「お前も…拾われたんか」
「…」
そうです。
「…拾われたんならシャキッとせんか!
お前、ラッキーなんやで!
あないな優しい人、他におらんからな!」
優、しい?
優しさって、なんですか?
「オレもなぁ、お前と一緒なんや
オレだけやない
ここのみんな、お前と一緒や
みんな、あの人に拾われて
見失ってた自分取り戻して
いていい居場所までもろとる
…せやから、お前さんは幸せモンなんや」
みんな、おなじ?
僕と?
そんな
そんなはずない。
いていい場所ってなんだ。
居場所っていうのは、誰にでもあるものじゃない。
僕にはないんだ
帰る家も
名前も
なにも、かも
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