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#8
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瑛影side
「はーい終わったよ
さっさと入ってアキカゲ!
こりゃきっとびっくりするねぇ」
終わった?
終わっただと?
俺はずっと扉の外にいたんだぞ。
刺青を入れる時悲鳴を上げないものはいなかった。
それなのに、あのガキは耐えたっていうのか…!?
俺は複雑な気分で部屋に入る。
「…コイツ、…」
いや、まさか
でも首元の鮮やかな蝶を見ると、やはり…!
「コイツ、胡蝶か…!?」
「そー
だーいせーかーい
こんなに変わるんだねぇ」
いくらなんでも変わりすぎだろ!
髪切るなんて聞いてねぇし!
「アキカゲ、嬢ちゃん部屋までよろしくなー
…嬢ちゃん、がんばれよ」
胡蝶は、こくりと頷いた。
「…っじゃあ、いくぞ…」
ひらひらと呑気に手を振る柴田を背に、
俺は廊下を歩いた。
小さい後ろのガキは、
トテトテと俺の後をついてくる。
まあ俺が手を引いてるから当然なんだけど。
その姿に、少しでも可愛いと思ってしまった俺がいる。
可愛いって…
確かにマスコットみてぇな体つきだが、
ツラ構えがよくねぇ。
どこ見てんのかわかんねぇし
一言も喋らんし
…そんなに怖ぇかなあ、俺は。
離れに着くと、俺は胡蝶の手を離した。
「…」
それにしても、すごい変わりようだな。
髪を切っただけなのに。
「…刺青、痛くなかったか」
胡蝶はこくりと頷いた。
「そうか。
…」
「…」
会話が続かねぇ…
「と、とりあえず俺は…」
パシッ
引いた腕を掴んだのは、胡蝶だった。
…驚いた、コイツから触れてくるなんてな…
喋ろうとも、目を合わせようともしないのに。
胡蝶はペタペタと俺の身体を触り、
ネクタイを外してボタンに手をかけ始めた。
「っおいおい、待て!
俺はお前をどうこうする気は…!」
「…」
…っ!?
コイツ…笑ってやがる。
虚ろな目で、なんで笑ってんだよ。
「…おい
お前がどんな人生送ってきたかは知らねぇがな
娼婦の真似事なんざすんじゃねぇ
テメェの身体はテメェが一番大事にしてやんな」
「…」
胡蝶の手が、ピタリと止んだ。
やめる気になったか?
「…」
「ちょ、おい…!
なにも泣く事ねぇだろ…!」
やめたかと思えば、途端にボロボロと
大粒の涙が、虚ろな目から流れ落ちた。
しかし、口元は笑っていて。
その姿があまりにも痛々しくて、
俺は思わず抱きしめてしまった。
…人の温もりを感じたのは、いつぶりなんだろうか。
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