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#15
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胡蝶side
部屋に、戻ってきた。
僕の声が戻ったら
もしかして僕はもう必要ないのでは?
だって、声が出たら助けを呼べる。
声が出たら、悲鳴だってあげられる。
そんなモノ、いらないのではないですか?
「…胡蝶
言っておくことがある」
なんでしょうか。
「お前の目が見えたとしても
お前の声が出たとしても
俺はお前を見捨てない
俺はお前を殺さない
お前の居場所はここだ
違うと思うなら他へ行けばいい
お前の好きにすればいい」
僕の、好きに?
居場所?
わかりません、僕。
「…僕に
居場所など、ありません
好きも嫌いも
ありません
ご主人様の命令が全てです
ご主人様が僕を必要だと仰ってくださるなら
僕はご主人様の側におります
不要なら
お好きなように処分してくださって構いません」
それが、僕の価値ですから。
僕はニコリと笑ってみせる。
「お前…
その顔、やめろ」
「わかりました
申し訳ありません
ハヤト様にもやめろと言われたのですが
僕は表情の変化が無いと
言われたものですから」
「誰にだ」
それは…
「…申し訳ありません
それは、言えません
ご主人様はお金を払って僕を買った
正規のお客様ではございませんので
お教えすることはできません」
【最近、表情が消えてしまったね】
【どういう顔をしたらいいのか、わからなくて】
【笑えばいい
お前は“ゼロ”だ、失うものは何もない
むしろ、与えてもらっているのだよ
喜びを表現しなきゃ】
そうか
笑えばいいんだ
あの人の言う通りに
あの人の、思い通りに
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