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#16
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瑛影side
柴田が去った後も
俺は複雑な心境だった。
なぜなら
今の自分を見透かされたような気がしたからだ。
《お前
シュウから逃げたいんだろう》
その、通りだった。
「…くそ、」
他人の送ってきた人生を
そっくりそのまま覗けたらいい。
そしたら
胡蝶の苦しみも
シュウの痛みも
分かってやれたはずなのに。
俺は階段を降り、母屋へと向かった。
母屋の中心部、厳重な警備が施されている部屋
そこに入ると、思った通りの光景。
「シュウ…」
ベッドに横たわり
複数の管で繋がれたシュウが
横たわっていた。
俺のせいで、守ってやれなかった。
俺のせいで、傷つけた。
「…俺は、シュウを守れなかった
だから、もう2年も目を覚ましてくれないんだろ?
あんな事を言い残して
俺を苦しませたいんだろ?
…もう十分苦しんだ
俺は、お前が目を開けて
俺を見て、笑ってくれなきゃ
生きていて死んでるも同じなんだよ…!」
シュウの手を握ってみても
機械音が、ピッピッと響くだけだった。
「…なぁ
俺は、お前を信じてるから
必ず目を開けるって
だから
お前が起きた時
今度はきちんと守れるように
お前が寝てる間に
強くなる
ちゃんと胡蝶を守り抜いて
アイツを普通の人間に戻してやるんだ
その頃にはきっと
お前を守れるくらい
強い男になってるはずだよな、シュウ」
俺はもう、逃げない。
シュウから
胡蝶から
自分から
目を、逸らさない。
待っててくれ、シュウ。
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