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「嘘。」
「うっ、嘘じゃありません……!」
「本当に??」
「ほっ、本当です……!」
「本当にホント?」
「ほっ、本当です……!!」
「じゃあ、持ち込みにきた人じゃなかったら君は?」
「僕は、僕はですね……!」
「あーっ! わかった! きみ、もしかしてうちにいる作家の誰かのファンの子!?」
「へっ!?」
彼はそう言って僕に指を指してくると、突然驚いた声を上げてきた。僕は、彼にファンの子だと思われてしまった。さすがに間違われると僕は驚きを隠せなかった。
『ちっ、違いますよ……! 僕はファンの子なんかじゃ……!』
「最近いるんだよねー、うちの作家さんの熱狂的なファンの子とかさ。たまに編集部まで手紙持って押し掛けてきたり、作家さんの出待ちしてる子とか良くね。悪いとまでは言わないけど、そう言うのは作家さんの迷惑にもなるからやめようね。先月もファンの子が編集部まで追いかけてきてね、大変だったよ。あれは確かに誰だったけな。わらびもち先生のファンの子だったけな? んー、それとも八十神先生のファンの子だったけな??」
彼はそう言うと、両腕を組んで思い出すように話してきた。そして、勝手に僕のことをファンの子と決めつけると、いきなり態度を変えてきた。首根っこをつかまれると、そのまま宙ぶらりんにされたまま編集部の外につまみ出された。
「お帰りはこちらになります。あと、次からは来ないようにね。次きたら出禁になるからね。手渡しでのファンレターはうちとしても困るから、礼儀はわきまえるように!」
そう言って部屋からつまみ出されると、僕は咄嗟にドアを叩いて騒いだ。
「ちょっ、ちょっと、人のことをファン呼ばわりするなんて失礼じゃないですか!? 僕は原稿を持ち込みにきた人じゃないし、ファンの子でもありません! ちょっと、人の話を最後で聞いて下さいよーっ!」
慌てて否定すると大声を出して外で騒いだ。そして、ドアを両手で叩いて泣きついた。
『僕は、僕は、僕はここで今日から働くことになりました水谷頼といいますっ!!』
ありったけのデカイ声で、大きな声を出して、僕は自分の名前を叫んだ。すると、さっきの人が扉を開けて聞き返してきた。
「きみ、その話しは本当かい? 嘘じゃないよね? 嘘だったら怒るよ?」
「うっ、嘘なんかじゃありませんよ……! 僕はこないだここの会社に編集者として採用されて受かったから間違いなんかじゃありませんよ!!」
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