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そう言って言い返すと、彼はまだ疑ってきた。
「じゃあ、君がそこまでいうなら面接した担当者の方の名前を教えて下さい」
「えっと確か、條原良樹さんと言う方です……!」
「條原良樹……。ええ、確かにうちには條原と言う名前の男性は在籍してます。少し彼に確認をとり行きますので、そこで“大人しく”してお待ち下さい」
彼はそう言って、疑った様子のままで話してくると、編集部へと戻って行った。そして、まもなくして数分後、彼は慌ただしく戻ってきた。
「ごめんごめん! ボクの勘違いだった! 君は確かに條原さんの面接に受かった方だったんだね! ボクはてっきり、持ち込みにきた人か、ファンの子じゃないのかとか、色々と疑っちゃったよ!」
「いっ、いいんです……! わっ、わかってくれればそれで……!」
僕は自分の顔をひきつらせながら、半分苦笑いを浮かべた。このまま彼に疑われたまま、追い返されるんじゃないかと、生きた居心地はしなかった。むしろ初日でこの扱いは単純に心が折れる。僕は疲れたため息をつくと、自分の胸を片手で撫で下ろした。
「とりあえず編集長の所に案内するよ、ボクについてきて!」
「はっ、はい……!」
――慌てて返事をすると、再び編集部の中へと入って行った。やや、周りの視線は感じたが、僕は下をうち向いて恥ずかしそうな表情で彼のあとをついて行った。そして、編集長がいる机に案内された。
「斎藤編集長、新しい新人を連れて来ました!」
「はっ、はじめまして! みっ、水谷頼と言います! きょっ、今日からここで色々とお世話になります! 新人ですが、一生懸命頑張ります!」
僕は斎藤編集長の前で、明るく自分の名前を名乗ると元気よくアピールした。すると、編集長は僕のことをジッと見てくると一言呟いた。
「篝、だれが小学生を採用していいと言った! どっからどうみても小学生じゃないか! うちに必要なのは、優秀な人材と、働ける大人だ! いくら猫の手が借りたいと言っても、こんな小学生をうちで働かせたら社会や、モラル的にもまずいだろ!?」
「さっ、斎藤編集長……! かっ、彼はこう見えても立派な社会人で大人ですよ!? 確かに見た目は小学生かもしれないけっ……!」
その瞬間、彼は頼のことをチラリとみるなり口を閉ざして下をうつ向いた。そして、頼は空気を察したのか、はたまた悟りを開いたのか、とても遠い目で佇んだ。
「ゴッ、ゴホン……!」
部長も気まずくなったのか、それ以上は言わなくなった。そして、なにもなかったかのように話を続けた。
「――まあ、とにかくだ。悪いが彼には帰ってもらうしかない。あとそれと、他の人材を早急に募集をかけて探すように!」
「編集長、ですが彼は……!」
「カガリ! この私に口答えか!? 大体お前はいつもそうだ! そのうっかり癖はいつになったらなおるんだ!? どうせこの子を面接したのはお前だろ!?」
「ちっ、違いますよ! 面接係は條原さんで、自分じゃありませんよ!?」
「ほんとうかぁ~?」
「はっ、はい……!」
「おい、今直ぐ條原をここに呼んでこい!」
「わかりました……!」
彼は部長にその場で疑われると、慌てて否定した。そして、頼を面接した者を部長の所まで引っ張って連れてきた。
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