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『王子』
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今日も空は晴天で、少し暑さを感じてきた頃、朝から生徒たちの行き交う声がする。
俺はいつも通り正門をくぐって、朝の登校をする。
はずなのだが......
「きゃー!!!!幸一さまよー!!!!」
今日もこりないのか...
心中で舌打ちしながら、騒ぐ女子のほうを睨み
「うるせえ…だまれ…」といつものように呟く。
「きゃー!!!!うるせえって言われた!!!」
「しかもだまれって!!!」
そんな毎度毎度朝からキャピキャピする女たちの前を通り過ぎる。
こんな毒舌を吐くのは菅井 幸一ただ一人。
俺が通っているこの学校では、なぜか周りから、クールなどえす王子と呼ばれている。
他にもSっ気王子やらなんやら。
確かに毒舌と言っていいほど口が悪いかもしれない。
でも、なんで朝からこんな疲れなきゃならないんだ...
とげっそりしていると
すぐ後ろの方から
「きゃー!!!!爽太さまー!!!」
と、また同じ女子なのか、それまたちがう女子なのかも分からない甲高い声がきゃっきゃと聞こえる。
俺は振り返らなくてもすぐにわかった。
あいつか…
俺とは正反対で、俺の苦手なやつ。
きっと、「おはよ。」と困り顔の笑顔をしながら言っているだろう。
爽やか王子のご登場か......
俺と同じで、なぜか周りから
「爽やか王子」とよばれるようになった人物が1人。
泉 爽太。
泉はおれと同じ学年だったりする。
しかも、中学から五年間連続同じクラスだったり...
俺がしってる限りでは、優しそうで真面目で...
これは俺の意見ではなく嫌という程周りから聞こえる周りの声だ。
…爽やか王子と言われるのもわかるような気がする。
けど、あいつにはわからないところがある。
誰にも媚びず、特定の人もいなくて、いつも周りには女子や男子が集まって...
クラスの人気者みたいな…
でも、そこじゃない。
なんだろう...、あいつの奥深くに何かが眠ってそうな...
俺とは同じ匂いで、そうでない匂いが...
なわけないか...俺の深読みだわ...
俺は考えていたことを忘れようと頭をふりその場から早足で離れた。
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