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序章
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大切な毎日。
愛する人がいる。
かけがえのない仲間がいる。
新しい一日が、また始まる。
「…………大和、朝やぞ………起きや?」
朝日がカーテンの隙間から差し込み、薄暗い部屋に美しい光の筋を描く。
朝。
ゆったりとした空気が流れるように、爽やかな朝と愛しい声が、一日の始まりを教える。
ギシ…………………
「ん…………親父………ぃ………」
真っ白なシーツに包まれ、大和はまだ眠い目を擦りながら、声のする方へ長い片腕を伸ばす。
親父。
これまで、数え切れない程口にして来た、言葉。
それが、最近になってやっと、より特別なものへと変わった。
沢山悩み、沢山葛藤し、かけがえのない友人によって、変わる事が出来た。
親父。
大好きな、愛する人。
「親父……………」
大和は、もう片方の腕も伸ばし、目一杯声の主を探した。
早く。
まるで、伸ばした腕が、そう言っているかのよう。
……………シ…………ギシ。
そんな、大和の腕に反応する様に、シーツの上をもう一本の腕が横切る。
「…………大和…………」
甘く、甘く、優しい囁き。
大和の腕を掴み、大切そうにそれを一気に抱き寄せる、鍛えられた艶やかな肉体。
背中には、朝日に照らされ輝く刺青。
「お……………や…………」
「おはよ……………俺の大和…………」
俺の……………。
それだけで、大和の胸はキュンと高鳴る。
惚れ惚れする様な男前。
「親父…………おはよ………ぅ………」
その男前に見とれながら、大和は照れ臭そうに呟くと、ソッと唇を重ねた。
1回が、2回。
2回が、3回。
一度重なった唇は、離れる事を惜しむ様に、何度も何度もそれを繰り返す。
バフ………………
ふかふかのベッドに身を沈め、父・嵩原は愛しそうに我が子を見下ろすと、満面の美しい笑みを浮かべた。
「あかん………止まらへんわ………お前が愛し過ぎて、止まらへん…………」
「俺も…………俺も、止まらん………」
キスをする仕草一つ、とろけてしまう。
自分の髪を撫で上げる父親の指先が、熱い額にほんの少しだけ触れる。
それだけで、幸せ。
愛する人と結ばれた幸せは、何物にも代え難い。
日々の荒々しさを忘れ、大和は見上げた先を埋める、父親の笑顔に幸せを見る。
それでも…………若く引き締まった大和の背中へも、ヤクザの証はさらされている。
ヤクザ。
二人は、組長であり、若頭である。
部屋を出れば、厳しい日常が、幕を開ける。
「…………あまりラブラブしとっても、高橋にどやされるな…………今日は、関東支部立ち上げの祝い日や。そろそろ用意せな、迎えが来るで………支部長」
「あ………っん………親………父…………っ」
最後に、より熱い口付けを交わし、僅かに出来た隙間から、嵩原は新たな呼び名を口にした。
支部長。
そう、今日大和は、関東支部支部長を名乗る。
約七千の組員を関東に乗り込ませ、関東全域に関西竜童会の名を馳せる戦いが、始まるのだ。
全ては、てっぺんを目指す為に。
恋愛男子2、始動します。
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