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とあるオフィス〔販売部門〕の危機的状況⑤肩~オリジナル
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やっとこどもが寝付いた。
湯上がり、バスタオル一枚の到(いたる)がそーっとやってきて、そーっと冷蔵庫開けて缶ビール取り出す。
プシュ! でこども、起きたことあるから、そこで開けないで、と仕草すると、サトシはこそこそと首をすくめた感じでリビングへと逃げてゆく。
あれ?
肩…
噛み傷…?
吸血鬼にでもやられたのかっておもったわよ。
でも吸血鬼なら牙痕よね。
完全に輪っかなのよ。
前歯、門歯、奥歯の痕まで。
猿かな。
女性じゃないの?
やっばーい。
悪友どもは笑うけど、誰も本気で言ってはいない。
到(さん)は子煩悩。
生真面目。
仕事の虫。
キャラはみんなに知れてる。
私は幸せな妻…
元気のない態度の私に、珍しく父が気づいた。
パパが到に久しぶりに会いたいって。
親父さん?
遊んでほしいんじゃない?
真弓と裕一郎さんがカナダ行っちゃったし。
きっと寂しいのよ。
真弓さんは妻の妹。
裕一郎君は真弓さんの連れ合いだ。
ほんとの弟妹みたいで結構好きだったんだが。
お義母さんは苦手。
浅薄な思考だだ漏れ。
お義父さんは・・・
お義父さんはちょっとつかみどころがない。
わかった。
次の有給に。
言いながら、思う。
次有給なんていつ取れるんだ??
と思ってたら、なんと!
翌週軽々取れたのだ。
思わず三島を見たが、彼女は、
私なんにもしてません!
と、ボディアクションで答えやがった。
ほんとであることは、思考質でわかる。
運、か?
夕食を一緒にということだったが、出発直前に、三島たちの世代の評価を書かなくてはならなくなり、妻の実家についたらもう四時だった。
よっぽど私に会いたくないのね。
母仲間の会に行く義母を、ひどく当てこすられながら送り出し、妻、義父、俺で酒を酌み交わす。
他愛もない会話。
いつ、うちの会社に移る、とか、こどもは将来何にするのかとか。
そんなの今は答えられない。
できれば今の会社に骨を埋め…
たいと思考を終える前に、ベビートーカーから、
ふええええ
と悲しい声が出た。
こども部屋(孫部屋)で、目が覚めてしまったらしい。
瞬時夫婦で顔を見合わせたが、
いい。あたし行く。
パパを構ってあげてて。
妻がこども部屋に去った。
妻の父。
三十くらいの時の子だと言うから、五十五才くらいか。
若いし、精悍だ。
うちの父はもうぼろぼろなのにな。
こないだ田舎に電話したら、俺相手に、
どちらさまでしょうか
って。
老いぼれるにはまだ早いだろう…
とよそごとを考えていたら、お義父さんに一献勧められた。
大して強くない俺は、この最後の一押しで意識消えた。
誰かが俺に触れている。
しつけーよ露木、もう三ラウンド目だぞ。
露木、が、いるわけはない。
ここは妻の実家で、俺は、義父と、サシ飲み…
はっと身を起こすと、俺のワイシャツは見事にはだけられ、ネクタイは緩く胸元で弧を描いていた。
義父は俺の前。
ソファに凭れている。
意識を失う前と同じ位置。
けれど、俺の肩の噛み傷は、確実に二つ増えていた。
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