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とりあえず、この腕をどうにかして解いて、逃げなければ――。
「ちょっと君、その人嫌がってるんじゃないかな?」
引っ張られるように男の後ろを歩いていた俺に、透き通る綺麗な声が男の前から聞こえた。
「……いやぁ…」
「早く放しなさい」
怒ったように言ったその人の声で、咄嗟に俺の腕を放した男は逃げるように去っていった。
とりあえず助かった。
男の力が強くて、振り切れなかった自分の力の弱さを痛感したけど。
「………あ、あの…ありがとうございました」
俺は頭を下げ、目の前にいる助けてくれた人にお礼の言葉を言った。
「気にしなくていいよ。それよりこの通り暗いから危ないよ」
透き通る綺麗な声。
すーっと耳に入ってくる。
この人の声、いい声だな――。
俺は下げていた頭をゆっくり上げ、助けてくれた人の顔を見た。
「………え…」
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