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26計画(中也)
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「ひとりで歩けるっつってんだろ!」
「でも中也さん医務室からフラフラで出てきたじゃないスか!!」
医務室で治療を受け、なんとか歩けるまでには回復したものの、マフィアの幹部がなんてざま、って程に体力は消耗していた。
覚束無い足取りで医務室からの廊下を歩いているところに、立原とばったり出くわしてしまった。
此奴には格好悪い所しか見せてなくて嫌になる。
適当にあしらえば払えると思っていたが、しつこく肩を貸そうとして来て今に至る。
「中也さん、前回のミッションでの傷…でしたっけ?本当に治るんですか?」
立原は知っている。
前回のミッションは、一ヶ月と半前の事を指したミッションだ。
最近駆り出された大きなミッションはヨコハマの南に拠点を置く組織の壊滅。
勿論そんなに手を煩わされた理由ではないし、傷なんて負うはずもない。
疑り深く上司思いの良い奴だが、お節介が過ぎる。
「何てこたァねぇってんだろが。お前は心配し過ぎだっつーの」
数メートル先に見える廊下を曲がれば、すぐに俺の部屋だ。
もういいとさっきから断っているのにも関わらず、何処までも付いてこようとする。
「おい、もういいから……」
「でもっ」
ガチャ
「……なんで手前が俺の部屋から出てくんだよ……」
当たり前のように扉を開けて出てきたのは太宰の糞野郎。
俺の質問に答えないまま、太宰は立原の腕をさらっと解かせ、代わりに自分の方に俺を抱き寄せた。
「んっ……」
太宰が回した手が肋を触り、顔を顰めてしまう。
「中也を待ってたんだよ。立原君、もういいよ」
「でも太宰さ……」
立原が止めようとしたのを無視するかのように、太宰は扉を閉めた。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈
後ろ手に鍵を締める音がした。
太宰は俺を抱えたまま、ソファーまで歩く。ソファー前の机には幾枚かの書類が散らばっていた。
人の部屋で何勝手やってンだか……。
「おいなんだよ。俺の部屋で何してやがった。つーか俺鍵閉めてた筈だが?」
俺の正面の椅子に座った太宰は散らばった書類を手荒に束ね、裏面の白紙にして伏せた。
「ここの鍵は簡単すぎるよ。中也が報告書書けって言ったんじゃないか」
報告書に必要な書類にしてはちいと枚数が多くないか?
また何か企んでんのか……。
「中也、今後のミッションの予定は?」
太宰は机の端にあった紅茶椀を優雅に手に取り口に含みながらこちらを見た。
って────
「おい手前!勝手に俺の紅茶椀使いやがって!!」
なんでも無いように啜った紅茶は、俺が自分で褒美に吟味
して手に入れた値を張るやつなんだ。
「私これあんまり好きじゃなーい」
「だったら飲むな!!」
太宰は最後まで飲むと静かな音を立てて机に置いた。
「で、次のミッションは?」
伏せていた目がゆっくりと俺を見つめ出す。
……此奴のこの目は嫌いだ……。
「……一週間後、港に密輸船が入る情報がある。其の武器の押収と捕獲。その日は大金が動く日だ。鈍鈍してらんねぇ」
墨西哥(メキシコ)のマフィアが銃の密輸を企んでいるとの情報だった。
夜中二時半に港につき日本の闇業者に売り飛ばす。
日本では手に入らない武器なだけあって、闇業者の手に渡るのも、ヨコハマや日本に回るのも危険だ。
「ふーん、私は呼ばれてないか…。部隊は?」
「黒蜥蜴と蜉蝣を連れてく。あと芥川」
「えー、芥川君〜?締め上げるどころか武器まで破壊しそうだね〜」
馬鹿にするような声色になんだか可哀想になる。
芥川も芥川で頑張ってんだけどなぁ…。
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