アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2中也※(中也)
-
ガッ
鈍い音が、無機質な鉄格子が囲う部屋の中をすり抜ける。
殴られた頬が痛ぇ……
口の中には、よく知った血の味が流れ込む。
「ほら立てよ中也。まだまだ終わらせねぇぞ」
そんな声も呆れる程に。
薄いベージュの襯衣は、もう真っ赤な血で染まりきって、元の色を残さない。
あーぁ、折角姐さんに貰ったのに……。
そんな事を思いながら、フラフラと立ち上がる。
実際は、立ち上がるだけで肋が軋んで痛い。
ゴッ
「かはっ」
思い切り腹を殴られたようだ。
空気と血が飛ぶ。
その途端に、腹部に激痛が走る。
ドサッと力なく俺は倒れた。
これ多分、折れた肋骨内蔵傷付けてんのかも…。
尋常ではない痛さに蹲りそうになる。
だけど、そんな事したら、もっと痛くさせられる。
でもしょうがないか……。
これは罰なんだ。
昨日のミッションで、俺は一つ間違えた。
その罰なんだ。
今迄も、ミッションで間違える度この部屋で罰が与えられてきた。
血の匂いなのか、鉄の錆びた匂いなのかがもうわからない程、この部屋には俺の血だけが残っている。
もう、慣れてしまった俺を自嘲する。
「ハッ……」
「中也、何を笑っている。お前は間違えたんだ」
「もっと、痛い目にあいたいのか?」
二対一とか卑怯すぎる……。
まぁ、マフィアに対して、卑怯も糞もねぇが。
ガッ グリッ
「がっ、はぁ、あ゛……」
明後日もまたミッションなのに……
手当で治るか……?
ミッションでおった傷は勿論、昔からの後遺症だってあるし、ずっとこうして受けてきた罰の傷もそんなに早く治らない。
あの太宰にだけは、知られたくない────
ふと、そんな事が頭に浮かぶ。
半年、ずっと一緒にミッションを組まされた。
何かと弄る太宰の前で失敗なんてしたら、一生の不覚をとる。
「ぉぃ……そろそろボスが帰ってくるだろ……?」
傷ついて声を出す事が苦しい喉で、2人に呼びかける。
「あぁ?チッ……行くぞ」
腕時計を確認した男が、もう一人を連れて、さっさと出ていった。
ズル……
不意に力が抜け、安心感から、鉄格子にもたれ掛かる。
太宰には絶対……
今、俺の頭に在るのは其れだけだった。
それに、この身体の事だけは知られたくない。
こんな、傷や痣だらけの身体を見れば、どうせ太宰も他の奴らのように、俺を腫れ物扱いなんだろう。
どうせ────
そこで、俺の意識はプツリと途切れ、暗闇へ瞼を閉じた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 34