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Your kiss is sweeter than honey.
バレンタイン 2
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聖梨は"喫茶ねこ"の厨房を借りて、せっせと小麦粉をふるいにかけていた。
厨房といっても、マスターも店に出すバレンタイン限定商品を作っているので、大人が2人が入ると結構狭い。
「マスター、すみません…場所借りちゃって」
「いいよ。龍くんに作る合間に、こっちの手伝わしてしまって悪いね」
「ち、違います!こっちの方がメインで、龍がついで!」
慌てる聖梨にマスターは、ニコッと微笑んで言った。
「喜ぶよ」
「うぐっ」
聖梨は話していないが龍との仲が良くなったことがバレて、とても恥ずかしかった。
(…仲が良くって、セフレか抱き枕、なんだけど)
さすがに『エッチしました!』なんて、言えない。
(あ"~っ!恥ずかしい!)
聖梨の手が早く動いて、ドンドン小麦粉が舞ってくる。
「聖梨くん、ストップ。次は、卵を割ってね」
「は、はい」
聖梨はハッと、我にかえった。
「聖梨くん、美玲ちゃんはガトーショコラ派かな?フォンダンショコラ派かな?」
「あ、聞いてみますね!」
スマホを取りだし、美玲にメールする。
『こんにちは。美玲さん、ガトーショコラとフォンダンショコラどっちが好きですか?』
すると…
『聖梨さん、こんにちは。社長と違って、甘いお菓子は何でも好きですよ。今、そちらに向かっています』
『社長』の文字に、聖梨の顔が赤くなった。
「…聖梨くん、どうだったかな?」
「ど、どっちも好きだそうです!」
龍に結びつくものは全て、龍との情事を思い出してしまい、聖梨は首を大きくふった。
(…だ、駄目!無心になれ、俺!)
「今から、来るそうです」
「今日は美玲ちゃんに、手伝わせてしまって悪いね」
「すみません…」
自分がこれから出掛けるので、聖梨も申し訳なく思っていた。
龍の一方的なお誘いでは、あるけど。
「聖梨くんは龍くんとデートだって言っていたから、仕方ないよ」
「デ、デート!!ち、違います!違います!」
「うんうん。龍くん、嬉しそうに言っていたからね」
"良かったね"と言うマスターに、恥ずかしくなり背中を向けた。
その後、頼まれた数以上の卵を割り続けたのは言うまでもなかった。
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