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Your kiss is sweeter than honey.
バレンタイン 11
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ショーが終わり、カップル達が違う方向に散っていく。
「聖梨、行くぞ」
「え?」
龍にグイッと右手を掴まれる。
そして、そのまま龍の上着のポケットに入れられた。
「り、龍っ」
(もう、何が何だかわからない…)
次から次へと刺激が強すぎて、聖梨は混乱していた。
ただ、引っ張られるようにお土産コーナーに連れて行かれる。
「ほら、好きなの選べ」
龍が、ようやく手を離した。
「…好きなのって、いいよ」
断ろうとしても、龍は聞く耳を持たない。
「さっきのベルーガ、いるぞ」
さすが、大人気のチンアナゴとベルーガは単独でコーナーが作られていた。
断るって決めた事も忘れて、聖梨はベルーガのコーナーを見て、はしゃいだ。
「可愛いっ!!」
小さいものは、キーホルダーやハンドタオル。
大きい物は、ぬいぐるみがこちらを向いているように、天井近くでディスプレイされていた。
「わぁ~っ!こっちにも!!」
はしゃいでいたが、ハッと気づく。
(迷惑かけているから、マスターと美玲さんにお土産を考えた方がいいよね)
ベルーガのコーナーから離れて、箱や缶に入っているお菓子を見に行く。
「龍、マスターと美玲さんにお土産渡したいんだけど…何がいいかなぁ」
「…こだわらなくて、いいんじゃねーの?」
「駄目だよ!今日なんて特に迷惑かけてるんだから」
「美玲は、すげー喜んでると思うけどな」
確かに、朝に会ったときも喜んでいた。
美玲なら、『マスターの近くにいるだけで良いです。お土産はいりません』と言うだろう。
でもいつも店番を急に代わってもらっているし、今回みたいに2日もお店に出てもらうのだから、お土産は買うべきだと聖梨は思っていた。
「と、とにかく!お土産は買うの!」
聖梨は1人でも決めようと、お土産達に向き合うがコレというものが決まらない。
(う~ん)
困り果てていると、後ろから手が伸びてきた。
「マスターなら、日頃使えるタオルやキッチン用具でいいんじゃねーの?」
そう言いながら、伸ばした手にはタオルとミトンが握っていた。
「龍!すごいね!そっか、ミトン」
(すごいや。…考えつかなかった)
感心していると、龍がテキパキと意見を出す。
「あっちに鍋敷きもあったぞ。常連客らは、何個かの菓子箱を買っていけばいいだろ」
「じゃあ、コレとコレ…かな」
何となく、人気なお菓子を側にあったカゴに入れると更に龍が何も考えずに、ポイポイッと別のお菓子を3、4個入れた。
「ん?」
聖梨は首を傾げた。
他の誰かにでも配るのだろうか。
「少ないよりも、多い方が良いだろ」
「…」
豪快な買い物に唖然とする。
(金銭感覚が違いすぎる…)
余ったらどうしようと考え少なくても、どうにか分けようと考えてしまう聖梨に対して、龍は余っても気にしないらしい。
「ほら、次」
龍にヒョイっと当然のように、カゴを取られてしまった。
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