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「涼…やっぱり俺着替え…」
「させないからな?」
「……はい」
先からチラチラッとすれ違う人に2度見されて居心地が悪い。その原因は俺の格好のせいに他ならなくて。
涼と一緒に回り初めてもう1時間は経とうとしているんだし、もう良いだろ…と思ったのだがまだ許してはくれないようだ。
「文化祭が終わるまでその格好でいろよ?着替えたらお仕置き」
「…っ、」
「どうしよっか、女装させて、きっつい媚薬飲ませて…。それからそうだな、ククッ…、めー…」
「き、着とくから!!」
意味深な笑みに血の気が引いていくのを感じ、涼の言葉を遮るようにそう言った。
めなんちゃらが気になるけど恐ろしい内容に違いない。着替えたいなんて言わないように気を付けよう。
「良い子良い子」
何だろう、何故だか知らねぇけどイラっときた。
「いてっ、昴流痛いって…」
「ふん」
「あー待って。ごめんって、いじめてごめんって昴流ー」
涼の脛を蹴って、涼を置いてスタスタと歩く。
そこまで怒ってないけど怒ってるふり。からかって俺の反応を楽しむばかりじゃなくてたまには涼も困れば良いんだ。
「大好きだから許して」
「…っ」
「世界一可愛い。俺の天使。愛してる。だから待っててばー」
大好き大好きと言いながら俺を駆け足で追いかける。…止めろ、俺が恥ずかしい。
赤くさせた顔を俯かせて、怒ってるふりじゃなくて、涼のそれから逃げるように早足で歩いた。
歩いて5分。いつの間にか人が全くいないところに来てしまった所で耳を塞ぎたいくらいに愛の言葉を口にしていた涼の声が急に聞こえなくなった。
気になって後ろを振り向くと、涼の足が止まってる。…無視しすぎた…?
サングラスをかけてるから、怒ってるのか、悲しい顔をしているのか…、涼が今どんな表情をしているか分からなくて、それが余計に胸を痛ませる。
気がつけば体の向きを変えて、涼に飛び付いていた。
涼に意地悪をするのは俺には向いてないみたいだ。
「ちょっと涼を困らしてやろうとか…思っただけで別に怒ってないから…。その、ごめんなさい…」
見えない涼の顔色をチラチラと伺いながら、涼の唇にキスを落とした。涼の足が止まるまで、止むことなく言われた愛の言葉に答えるように。
「…りょう…?」
無言で何の反応も見せない涼に、もしかしたらサングラスに隠された表情は、俺が逃げた理由を知って怒りを露にしてるんじゃないか、と不安になる。
「涼…っ、お願いだから何か言っ…うわっ?!」
急に体が中に浮き、吃驚して涼にしがみついた。相変わらず涼の表情は分からない。
「りょう、あ、の…おこってるの……?」
「…」
返事はない。けど俺には言わなくても分かるだろって声が聞こえた気がして、口を閉じた。
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