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「マイク持って歌えば良いのか?」
「なんのためのマイクだよ」
昴流はどうやって歌えば良いんだ、と言うような表情をしており、このままではマイク無しで歌ってしまいそうなので、琉生は初カラオケの昴流に出来る限り分かりやすく歌い方を説明した。
何となく理解したのか、「分かった」と眉間に皺を寄せて首を捻らせながらだが頷くと昴流は、自分が先選んだ曲の伴奏が聞こえだすと椅子から立ち上がって机に置かれていたマイクを手にもった。
「…ルイちゃん、何動画アプリ起動させてんの?」
隣でカラオケ、という場では必要のないその機能を使い始めた琉生を見て、愁は素直な疑問を口にした。
「…椿先生に狼城が歌ってる姿撮れって脅…頼まれてんだよ」
昨日、昴流に電話したはずだったのに出たのは涼で、打ち上げに使う場所を聞いてきたかと思えば、「撮らねえと分かってるよな?」脅しにも聞こえる言葉を並べて動画を撮るように言われたのである。
それに、愁は同情を隠せず「御愁傷様」と呟いた。
「嗚呼、言い忘れてたけどルウちゃんの歌、最初は鳥肌物かも」
「は?それどういう…」
「My world has changed since I met you.」
『どういう意味なんだ』それを琉生が言い終わる前に、透き通るような綺麗な歌声がこの小さな一室に響き渡った。
「You're my princess that is very very precious…precious.…Now, I can’t imagine how my life would be without you.」
ー君は僕のお姫様。…とてもとても大切な、大切な…。今では君がいないなんて考えられないよー
「…But,hey,what do you think of me?」
ーでも、ねえ。君は僕のことをどう思ってるの?ー
それは最初から最後まで英語の歌だったが、昴流はそれをスラスラと歌っていく。
洋楽が歌えるのは流星の影響で、流星がよく聞いているからなのだが、それでも普段日本語を話しているとは思えないくらいに…否、まるで日本語を喋っているかのように歌うのだ。
高く、優しい。そして色気すらもある。そんな歌声だ。
愁が言っていた「どのキーも出せる」は強ち嘘ではないのだろう。女性しか出せないような高いキーは別として。
"綺麗"。その言葉に限った。
ーマジで鳥肌物だなー
吉柳は愁が言っていたそれを実感し、辺りを見渡した。愁以外の人全員がその歌声に息を飲んでいた。
上手い、なんてレベルじゃない。
ここで涼がいたのなら…「エンジェルボイスゥ…」と悶えていたのが想像できる。
「…けほっ、なあ、何で黙ってんの?」
歌い終わった昴流が喉を押さえながら、マイクを置いて椅子に座る。そこで、は、と我に返った。
「ルウちゃんがえろえろだからだよー。はい水」
「えろえろ…?」
「そー。歌い方がえろい」
「普通に歌ってんだけど」
実際、愁の言う通りだったのだが、昴流には理解できなかったようで首を歌う前と同じく傾げ、愁から受け取ったコップに入った水を一気飲みした。
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