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「で、親父とお袋は?」
リビングに戻ると、すっかり冷めてしまったコーヒーを飲んで涼は真さんと金髪君にそう聞いた。
「嗚呼、それなら先にむこうに行ったわ」
「俺たちは夜までに兄貴をつれていく係」
「『どうせあいつは行かないって言うだろうから』って頼まれたのよ」
「嗚呼、行きたくねえな」
「うわー、逃げるの?年の割には餓鬼なのねおっさん」
「ああ?」
「おっさんおっさん」
「おっさん」と2人に連呼され、どんどん涼の眉間のしわが濃くなっていく。
「で?逃げるの?オジサマ」
「…ッチ、行きゃあ良いんだろ」
売り文句に買い文句。見事真さんに乗せられた…って感じだ。
真さんもしかして涼より強い…??
「あ、後母さん達と雪路が涼の天使を拝みたいって言ったわよー」
「ゆきじ?」
「私たちの叔父よ」
「…おいそれは流石に冗談きつ…」
「昴流君来てくれる?」
「え、俺も…??」
まさかの展開。家族で集まるってのに俺が入って良いんだろうか…?
行かない方が…嗚呼、でも真さんの目が行かないって選択肢はないって目してる…。
「…えっと、邪魔にならないなら…」
「邪魔になるわけないじゃない」
「…じゃあ、行かせてもらー…ん゛ぅ…っ」
「駄目だ」
邪魔にならないなら…と真さんの誘いに頷こうとしたら、涼に口を手で塞がれて却下される。
「昴流は行かなくて良い。行くな」
「…駄目なの?」
「駄目」
「む…」
涼がそれほど俺を行かせたくないってのは伝わってきた。
何で行かせたくないんだろう…やっぱり家族で集まるんだから俺がいたら迷惑…ってことかな。
「あー、違うよワンちゃん。兄貴説明不足。ワンちゃんに嫌われても知らねえぞ?」
「…うるせえな」
「えっとね、俺らこの時期に雪路の家に集まるんだよ親戚一同。ワンちゃん人が多すぎるところ苦手でしょ多分。だから無理をさせたくない。…後は兄貴の独占欲」
「そうなの…?」
「……だったら悪いか」
金髪君に自身の心の内を代弁され、照れ隠しなのかふい、と俺から視線をそらす。…可愛い、写真撮っとけば良かった。今度から常にスマホのカメラ起動させとこ。
金髪君が言うように、俺は人が多すぎるのは苦手…なんだと思う。初対面の相手と話すとき『見下してる』と思われるくらい口下手になるときがあるらしいし…。
全員顔見知りなら大丈夫だと思うけど、俺が知ってるのはここにいる3人だけ。涼は逆に俺が居心地が悪いんじゃないのかって心配してくれてたんだね。
じゃあ、
「独占欲は何で…?」
知らない人ばかりなんだから涼以外と俺が話す人は限られてくる。それこそ金髪君や真さん位だ。金髪君や真さんと話してるのを見て妬く…ことはないことはないのかもしれないけど、だからって行かせたくない、までにはならない気がする。だって、もしそうなら俺に今2人に会わせないために「何処かに隠れてて」とか涼なら言いそうだ。
「秘密」
「ひ、ひみつ…?」
「涼、あんた何格好つけてんのよ」
「ただワンちゃんを色んな奴に見せたくないだけなんだろー」
「…えっ、みせたくない…?」
「……嗚呼」
あ、一瞬「勝手に言ってんじゃねえよ」って顔した。
見せたくない…か。
それが涼の独占欲なら、『俺だけを見ていろ』ってことなのかな…?あれ、でも何か違うような…、うーん…?
「昴流君が誰かに取られないか心配なのよ」
「と、とられる…?」
「俺らみたいにワンちゃん気に入ってベタベタしてこないか、ってこと」
ベタベタ…なるほど…?つまり涼は色んな人に触られたくないのか。
可愛い…触られても相手は自分の親戚なのに。それでも妬いちゃうとか。
「俺、行くなら涼の隣から離れないから大丈夫だよ」
「…俺じゃない方の隣に座ったやつが触ってきたらどうすんだよ」
「えっ…えー…じゃあ膝の上…?」
「…それなら行っても良い」
少し間が開いたけど了承してくれた。
…まだちょっと不安なのかな?
「俺がす、好きなの涼…だけだから…ね?」
「…もっと」
「あ、う…だ、だっだいすき…!」
「ふふ、うん。俺も大好き」
涼に安心してほしくて、『俺が涼以外の人を好きになることはないから』って意味を込めてキスをすると、嬉しそうに微笑んで、俺を思いっきり抱き締めた。
もう、不安なのは無くなったみたい。
「臣、写真撮れるだけ撮りなさいよ」
「分かってる」
そして、そんな俺たちを無音カメラで連写している陰が2つ。
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